どっち?日銀「穏やかな回復」と政府「若干弱含み」[2014/10/29 11:50]

 消費税再増税の判断に影響を与えそうです。政府は、10月の景気判断を2カ月連続で下方修正し、甘利担当大臣も「若干の弱含み」と景気の下振れを認めました。これに対して、日銀は「緩やかな回復が継続」と、13カ月連続で据え置きました。黒田総裁も「金融緩和の効果は出ている」と強気の姿勢を貫いていて、政府と日銀の温度差は広がるばかりです。

 (経済部・柊知一郎記者報告)
 日銀が強気な姿勢を崩さないのは、企業への調査や地方からの報告で、長い目で見れば雇用や賃金は改善する道筋が見えているとの考えからです。さらに、アメリカの景気回復や減速気味の世界経済が2、3年後は上向くとの見通しも支えになっています。また、日銀が重要視する企業の生産活動を示す統計では2カ月ぶりに上昇に転じて、これも好材料となりました。一方で、街角景気や足元の経済指標のなかには弱さも目立ち、自民党内では消費税の再増税を延期する声も強くなっています。しかし、日銀は去年から企業や消費者のマインドを高めるために大規模な金融緩和で市場に大量のお金を流し込んでいて、「もはや振り上げたこぶしは下ろせない状況」との声もエコノミストからは上がっています。日銀は31日の会合で、今年度の経済成長は下方修正する見通しですが、来年度以降は数字はほとんど変えず、景気の「緩やかな回復」は崩さない方向です。

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