宣伝放送の効果は 最前線の“北”兵士に心理的影響[2016/01/08 16:57]

 金正恩第1書記の誕生日とされる8日、核実験への対抗措置として韓国側が北朝鮮に向けた宣伝放送を始めました。ソウルから車で約2時間の「南北軍事境界線」に近い京畿(キョンギ)道・漣川(ヨンチョン)郡という町から報告です。

 (大野公二記者報告)
 (Q.拡声器による宣伝放送の後、現場周辺に変化は?)
 まだ、避難指示等は出ていないので目立った変化はありませんが、もし避難指示が出れば、周辺の住民が地下シェルターの入り口に集まることになります。その近くにある鎖で囲まれた場所は2014年に北朝鮮の高射機関銃が実際に着弾した場所です。ここがいかに北朝鮮と近いかが分かります。周辺の住民は、拡声器放送の開始を受けて、北朝鮮がどのような反応を示すのか非常に気にしています。その北朝鮮ですが、前線地域の軍の態勢が強化されていることが確認されました。それを受けて、韓国軍も前線地域の警戒レベルを最高水準にまで引き上げました。ここから北に向かう道路は8日、すべて封鎖されました。
 (Q.なぜ北朝鮮はこの放送を嫌がるのか。どういった点に効果が表れるのか?)
 実際にこの放送を聞いているのは前線に配備されている北朝鮮の兵士です。前線部隊から脱北してきた北朝鮮兵士に話を聞くと、この放送について「1年目は気にならない」「2年目になると疑問が湧いてくる」「3年目になると放送内容を信じてしまう」というふうに証言していました。前線に配置されている兵士というのは忠誠心が高い兵士ですが、その彼らでさえ心が揺れてしまうということは、金正恩体制にとっては大きな脅威なのだと思います。

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