クーデター未遂の黒幕は政敵?政府の“陰謀説”も[2016/07/18 17:10]

 大統領が仕組んだのではという政府陰謀論もくすぶっています。トルコ政権側はこれまでに、クーデターに関与したとして約6000人を拘束しました。イスタンブールから報告です。

 (阿部健士記者報告)
 政府がクーデター失敗を宣言してから2日が経ちました。市内はすっかり日常の生活に戻っています。イスタンブール中心部にあるタクシム広場では、広場中央にクーデター鎮圧を祝う意味が込められているのかトルコの大きな国旗が掲げられています。そして、その脇には露店や広場を散歩する人たちの姿、また道路にはタクシーやバスが普通に走っているのが確認できます。ただ一見、平穏に見えていますが、政情が不安定になっているため、またいつテロや衝突が起きてもおかしくないといえます。
 (Q.一体、誰がクーデターの首謀者、主導したのか?)
 様々な情報が錯綜(さくそう)していて、黒幕が誰なのかはっきりとは分かっていません。トルコ政府は、エルドアン政権に批判的なイスラム団体「ギュレン運動」が黒幕だと主張していますが、ギュレン運動側はクーデターへの関与を否定しています。一方で、一部の国民の間では「政府が不満分子を一掃するためにクーデターを仕組んだ」といった政府陰謀説まで出ています。ただ一つ言えることは、今回のクーデターを機にエルドアン大統領がさらなる権限強化に乗り出しているということです。トルコ政府は、これまでにクーデターに関与したとしてギュレン運動に関係しているとみられる司法関係者や軍関係者など約6000人を拘束しています。さらにはEU(ヨーロッパ連合)への加盟を目指し、2002年に廃止していた死刑制度の早期の復活にも言及しています。さらに警察官ら約8000人を解雇したとの情報も新たに入ってきました。中東の大国であるトルコが不安定化すれば、中東情勢がさらに混迷を深めることは必至で、世界各国がトルコの動向に注目しています。

こちらも読まれています