「日本の立場に合致せず」“核兵器禁止”日本は反対[2016/10/28 11:50]

 国連の委員会で、核兵器を全面的に禁止する条約を目指す決議が賛成多数で採択されました。しかし、唯一の被爆国である日本は反対票を投じました。ニューヨークから報告です。

 (横地明子記者報告)
 被爆国であるにもかかわらず、核兵器の禁止に「反対」するという矛盾した判断は、アメリカの核に守られているという現実を優先した結果となりました。オーストリアが主導する決議は、核兵器の開発や実験、使用などをとにかく全面的に禁止しようというもので、核兵器の削減が進まない長い歴史に核を持っていない国々がしびれを切らし、動き始めたものです。日本はこれまで、核を保有する国と保有していない国のいわば「橋渡し」をしようと努力してきましたが、この決議に関しては、核保有国側に付いた格好となりました。実はこの国連総会の委員会では日本も核を減らそうという決議を提案していました。なかでも重要だったのは、核保有国のアメリカを巻き込むことでした。そのアメリカは、オーストリアが主導する決議に反対票を投じるよう各国に強く求めていたことが日本が「反対」票を投じた背景にあると考えられます。議論を主導したオーストリアの大使は、日本の態度に非常に残念だと話すなど波紋が広がっています。
 岸田外務大臣:「反対の理由は、核兵器のない世界を目指す我が国の基本的立場に合致せず、核兵器国と非核兵器国の間の対立を一層、助長し、その亀裂を深めるものだからだ」
 そのうえで、岸田大臣は日本が主導した核兵器廃絶決議の方にはアメリカなどの核保有国も含めて167カ国が賛成したとして、「我が国の決議こそ核兵器のない世界への現実的な道筋を示すものだ」と強調しました。

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