グアムが“射程”北ミサイルに米政府は?対話焦点に[2017/05/14 21:07]

 北朝鮮が14日朝、弾道ミサイル1発を発射しました。西部の亀城(クソン)付近から30分ほどにわたって約800キロ飛行し、日本海の日本の排他的経済水域の外に落下したと推定されています。

 (山下達也記者報告)
 (Q.アラスカが射程に入るなどミサイル発射はアメリカ本土を狙った実験という報道もあるが、アメリカ側からそのような話は出てきている?)
 アラスカまで届くという情報はありませんが、逆にグアムを射程に収めたという時点ですでに重大な脅威というふうに報じられています。ある専門家は、グアムにはアメリカ軍基地、そして、爆撃機があり、そこをミサイルと核弾頭で合わせればアメリカに対して北朝鮮は限定的な核抑止力をついに持ってしまったというふうに指摘しています。その証拠に、ホワイトハウスは少し微妙な対応をしました。声明を出したのですが、そのなかでは、「ミサイルはロシアに向けられた」「ロシアが怒るぞ」というようなことが書いてあります。これは、中国に次いでロシアに責任を押し付けようというような感じにも見えます。裏を返せば、アメリカが簡単に軍事行動にはできないということになります。声明の最後では、国際社会が制裁を強化していこうということも書いていて、これはオバマ政権の言っていたことと全く一緒で、トランプカラーもない手詰まり感が少し出ています。今後、グアムから爆撃機が牽制(けんせい)で飛ぶかどうか、その辺が一つの焦点になります。
 (Q.トランプ大統領は、適切な条件下であれば北朝鮮の金正恩委員長との対話を示唆していたが、今回の事態を受けて変化は?)
 アメリカメディアはミサイル発射を受けて、対話への道が開けたように報じています。なかでも重視しているのは、北朝鮮高官の「条件が整えばトランプ大統領と対話する」というものでした。この翌日にミサイルが発射されました。アメリカの分析は、「硬軟を織り交ぜた北朝鮮のやり方、危機をあおって対話に持ち込もうとするやり方だろう」「エールだろう」というふうに指摘しています。ある専門家も、トランプ大統領は金正恩委員長は若いから交渉で説得できると踏んでいる節があると解説しています。さらに、会談が行われる場合はホワイトハウスではなく、非公式のフロリダのトランプ大統領の別荘だろうと指摘していて、今後、チキンレースと同時に対話が焦点になってきます。

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