スウェーデン制限撤廃へ…キーマン語る“共存”[2021/09/14 23:30]

各国がコロナ禍からの“出口”を模索しています。スウェーデンが取った選択を見ていきます。

これまでスウェーデンは、ロックダウンを一貫して行ってきませんでした。パンデミックが始まって間もないころに取られていた対策は、大人数で集まってはいけない、ソーシャルディスタンスを取って、消毒とテレワークの推奨くらいでした。学校も閉鎖されませんでした。

現在のスウェーデンは『ステージ3』の規制中です。スポーツイベントや遊園地、映画館などでは人数制限が行われ、リモートワークが推奨されています。ただ、こういう規制も今月末で終わりです。
ハレングレン保健相:「大事なことは普通の日常へ、規制のない社会へ。今後も手洗い続けて、症状があった場合は自宅で待機し、検査も続けなければならない」

スウェーデンでも、デルタ株の影響で感染者数は増加傾向にあります。ワクチンの完全接種は、16歳以上で7割を超えていますが、感染拡大しやすい冬を前に、規制が撤廃されることに反対の声がないわけではありません。ただ、6月のGDP=国内総生産は、前の年に比べ10.5%と大きく増加し、コロナ前の水準を上回りました。経済・社会活動の再開は、着実に進んでいるとみられています。

スウェーデン在住の日本人2人に、それぞれ今の状況を聞きました。
カロリンスカ大学病院・宮川絢子医師:「この1年半、ウィズコロナで国民全体が生きてきたので、特にそれが今、ウィズコロナに変わったのではなくて、ずっとウィズコロナできた。今後も感染者は出続けるだろうし、それを社会が受け入れているというか、そのような状況。このままの状況が、ある程度、長いこと続く認識があると思う」
イラストレーター・大森巳加さん:「ある程度の年齢の方に話を聞くと、やはり不安がある。ワクチン打っても、コロナにかかる人はいるわけだし、万能薬ができているわけでもないし、今の段階で規制が緩むと、どう考えても感染者は増える。死生観が日本とは違うので、仕方がない部分とか。では、次どうしたらいいかを考える方が大事だと考えているのではないか」

スウェーデンでは高齢者を中心に多くの死者が出た時期があり、「ロックダウンをしなかったからだ」と批判された時期もありました。しかし、「持続可能ではない」「移動の自由を認めている憲法に抵触する」という理由などで、一貫してロックダウンは選択していません。その陣頭指揮を執ってきたのは、デグネル博士です。コロナ禍の出口の選択について、いろいろ聞きました。
政府疫学責任者・テグネル博士:「“コロナは今後もまん延する”と社会が認識し、受け入れるのが大切。“もう止められない”これがニューノーマル。コロナは新たな“一般疾患”であり、一貫した対応策を築き上げる必要がある。コロナをゼロにするのは極めて困難だろう。ワクチン接種率のとても高い国でも難しいだろう。感染者は出る。重症化はしないだろうが、コロナの感染はこれからも続く。大切なのは、一つのデータや数字にこだわらないこと。より全体的な評価をするべき。『社会が受け入れられる感染状況なのか』『さらなる対策が必要なのか』『一部の対応はやめるべきか』を考える」

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