急転直下の“合意”…日韓の狙いは? 記者解説[2015/12/29 11:47]

 慰安婦問題に関する日本と韓国の合意について、岸田外務大臣に同行した政治部の千々岩森生記者の解説です。

 (Q.この年末に急転直下の合意に至った背景とは?)
 まずは、今年が戦後、日本と韓国が国交正常化をしてちょうど50周年にあたる大事な年であり、この年のうちに何とかけりを付けたかったというのが双方のなかにあったということです。水面下の交渉ですが、安倍総理大臣と朴槿恵(パク・クネ)大統領は、先月に初めて首脳会談を行いました。それ以降、安倍総理の側近の谷内国家安全保障局長、それから朴大統領の側近の李丙ギ(イ・ビョンギ)大統領府秘書室長は前の駐日大使でもあります。このホットラインを使って一歩一歩、近付いていった。そして、先々週ですが、産経新聞の前のソウル支局長の無罪判決が出ました。これを見て、韓国は本気だということで岸田大臣が決断をして、周辺に「28日が今年の仕事納めだ。韓国に行くぞ」と宣言をしました。こうした水面下の動きがありました。
 (Q.今回の決着は日本にとってはどういう意味がある?)
 色々なメリットがあると思いますが、何といっても国際社会において韓国と中国は、いわばタッグを組んで歴史認識については日本を批判してきた。そうしたことを払拭するきっかけになったと思います。国際社会における今後の日本の動きですが、来年1月1日から国連の安全保障理事会、これは非常任理事国入りになるため重要です。5月には伊勢志摩サミット、オバマ大統領やイギリス、フランス各主要国の首脳が来ます。そして、1年をかけて、とにかく国連の改革をしてドイツやインド、主要国と一緒に常任理事国入りを日本は目指す。そうした重要な年になる前に、この歴史認識の一番重要な慰安婦問題でけりを付けたというのが大きな意味があったと思います。

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