財務省は何を書き換えたのか? 内容を詳しく見ると[2018/03/12 16:58]

 文書からは安倍昭恵夫人の名前も消されていました。森友学園への国有地売却を巡って財務省は12日、決裁文書の書き換えがあったことを認めました。財務省は何を書き換えたのか。報告書は80ページ近くに及んでいました。主な内容を見ていきます。

 まずは「特例承認の決裁文書」という項目が書き換え前は3ページにわたって書かれていましたが、書き換え後は1ページにまとめられています。何がなくなっているのかというと、書き換え前は鴻池祥肇参議院議員の名前がありましたが、なくなっています。そして、2014年の4月に森友学園側から近畿財務局との打ち合わせのなかで「安倍昭恵夫人を現地に案内し、夫人から『いい土地ですから前に進めて下さい』とのお言葉を頂いた」という発言があり、その記述が消されています。籠池理事長と夫人が現地で並んで映っている写真も提示されていたということです。さらに、昭恵夫人が「森友学園に訪問した際に学園の教育方針に感涙した旨が記載される」と、ここでも再び昭恵夫人の名前が出てきています。また、当時の国土交通省・北川イッセイ副大臣の名前や平沼赳夫元議員の名前も出てきていますが、書き換え後は消されています。
 「学校法人森友学園の概要等」とする文書で、こちらも内容が大幅に消されています。書き換え前の文書には、籠池氏が「日本会議大阪に関与している」とする記述があります。さらに「(注)」として、国会において日本会議と連携する懇談会の役員として、麻生財務大臣や安倍総理大臣の名前が記載されています。その下には森友学園を訪れた議員の記録も載せられています。このなかには安倍昭恵総理夫人の名前があり、講演・視察に訪れたとする記録もありました。ただ、書き換えられたものに関して見ると、「運営事業」や「教育方針・教育内容」としか残っていません。そして、印刷されていた籠池氏の名刺は、書き換え後にはまるごとなくなってしまっています。さらに、「財産決議書」は、「学園からの『要請』」という文言が「申し出」に変わっています。
 続いては調書です。当初、10年間の定期借地契約後に売り払う契約になっていたことについて、「特例的な内容となることから」という記述がありますが、書き換え後はなくなっています。また、書き換え前にあったものが書き換え後は空白になっています。何が書き換え前に書かれていたのかというと、「学園の提案に応じて鑑定評価を行い、売払価格の通知を行うこととした」と書かれていました。そして、「評価について」という項目では、「平成28年4月1日」、「平成28年4月15日」と日付が記載されていますが、書き換え後の文書ではその日付が「平成28年4月22日」というふうに変わっています。
 国有地の「売払決議書」です。書き換え前には、「要請を受けて価格等について協議した結果、学園が買い受けることで合意した」と事前の価格交渉をうかがわせる記述がありましたが、書き換え後の文書では「要請」という言葉が「申し出」に変えられていて、事前の価格交渉をうかがわせる部分は消されています。さらに、項目番号「4番」として記載された、「貸付契約までの経緯」が約1ページにわたってすべて、消えています。ここが消された結果、書き換え前は「5番」の項目が付いていた「本件売払いに至る経緯について」は書き換え後に「4番」に繰り上げられ、次の項目の「6番」も玉突きで「6番」から「5番」に変えられています。

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