北朝鮮・拉致・日米通商…日米首脳会談で記者解説[2018/04/18 17:07]

 今回の日米会談は、やがて行われる米朝首脳会談について日米がすり合わせをするというのがテーマだということでしたが、何がどこまですり合わせができたのでしょうか。

 (政治部・吉野真太郎記者報告)
 安倍総理大臣が、今回の会談で最もこだわったのが米朝首脳会談をどういったテーマで議論を始められるかということです。アメリカの関心事項は非核化とICBM(大陸間弾道ミサイル)の凍結ですが、これだけがテーマになるのは日本としては困ります。日本には拉致問題がありますが、さらに現実の脅威として、短距離・中距離のミサイル問題があるからです。会談で、トランプ大統領は「日本にとって最善となるようベストを尽くす」とも述べていて、ミサイル問題も含む日本の関心事項を議題に乗せることに前向きな姿勢を示しました。また、米朝会談へのスタンスもすり合わせました。トランプ大統領はカメラの前で「条件が整わなければ、米朝会談を取りやめていい。圧力路線を続けるだけだ」と言い放っています。交渉の主導権を握るために、いわば、かまして見せたわけですが、北朝鮮が具体的なアクションを起こすまでは、圧力路線を維持するということを日米が一緒になってアピールした格好です。

 (山下達也記者報告)
 (Q.トランプ大統領は金正恩委員長との会談で日本人の拉致問題を取り上げると明言していましたが、どこまで具体的に取り組んでいくのでしょうか?)
 トランプ大統領は去年の夏ごろから拉致問題に非常に意識が高くなっています。これはアメリカ人の大学生が北朝鮮で拘束されて解放されましたが、亡くなったということも大きく影響しています。ホワイトハウス高官によりますと、トランプ大統領は北朝鮮問題については、常に不当に拘束されている人たちのことが頭にあると言っています。そして、アメリカ人はまだ3人が北朝鮮で拘束されています。そして、今回の首脳会談の直前、または会談のタイミングで解放されるのが当然だろうという世論がアメリカにはあり、調整が進められています。トランプ大統領は今回、CIA(米中央情報局)を交渉の軸に使っていますが、CIAは昔から拘束されているアメリカ人の解放交渉を担当しています。日本人拉致問題については、トランプ大統領が前提条件とするのか、どの程度取り上げるかがポイントとなります。米朝首脳会談のおぜん立てに関与したといわれている元CIA高官によりますと、会談では「非核化・核問題」がどうしても最大のテーマになるので、「深い具体的な拉致問題の協議になるのは難しいのではないか」と指摘しています。ただ、安倍総理が日朝首脳会談実現を目指しています。トランプ大統領が金委員長に対して日朝首脳会談も実現し、そこで拉致問題を真剣に協議しろと促して、さらにそれを将来の米朝国交正常化交渉の条件にすると、そういったことが考えられると思います。

 (政治部・吉野真太郎記者報告)
 (Q.懸案の貿易問題に関してはどのような話し合いが行われるのでしょうか?)
 貿易問題は、19日未明に行われる2日目の首脳会談の最大のテーマです。今から約5時間前にトランプ大統領がツイッターで先制攻撃してきました。「TPP(環太平洋経済連携協定)はアメリカのためには好ましくない。二国間の取引の方が効果的だ」と改めて表明しています。安倍総理は通商問題を閣僚レベルで協議する新たな枠組みを提案しますが、アメリカをTPPに復帰させたい日本側とあくまで二国間の自由貿易協定を目指すアメリカ、調整は極めて難航しそうです。

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