自民 10万円“一律給付”のめない理由は…記者解説[2021/11/08 23:30]

18歳以下の子どもを対象とした“10万円の給付”について、与党が協議を始めました。

現金給付策について、自民党と公明党はスタンスが違っています。

公明党は『未来応援給付』として、18歳以下に一律10万円相当(所得制限なし)の給付。つまり教育や子育てといったことを重視しています。

自民党は、非正規雇用者・女性・子育て世帯・学生など、コロナで困っている人への経済的支援。困窮者支援に重点が置かれています。

政治部・与党担当、小池直子記者に聞きます。

(Q.自公の幹事長協議はどうなりましたか)

8日の協議で結論は出ていません。ただ、両党の重なる部分については、今後、協議を進めていく方針は確認しました。

公明党案については、自民党内から所得制限なしの一律給付は「合理的ではない」として、反対意見が強くあります。このため、公明党幹部からは「18歳以下の子どもへの支給を優先するために、所得制限はやむを得ない」との声も出始めています。

9日は所得制限のラインをどこに引くのか、引き続き協議が行われます。

自民党が公約で掲げた案についても、支給する方向で、さらに詰めの協議を進めていきます。12日までには方針を決めたうえで、来週、党内にそれぞれが持ち帰り、19日の閣議決定を目指しています。

(Q.去年の直接給付の時、公明党が所得制限なしに一律10万円案を出して、自民党がこれをのんだ経緯があります。今回、自民党の拒否反応が少し強いように見えますが、その点はどうですか)

前回、岸田総理は給付のスピードを重視ししたため、自民党としては30万円を取り下げる結果となりました。今回はスピードもさることながら、本当に困っている人への支援に重きを置きたいとしています。

さらには、「バラマキだ」という批判が、自民党本部や議員に多く寄せられています。そのため、所得制限なしという公明党案はそのままのめないという事情があります。

(Q.自公両党は、お互いのスタンスの違いを理解していますか)

自民党はまず今回、生活困窮者の支援を前面に打ち出し、公明党は『未来応援給付』実現のうえで、さらに困窮者も支援するということで、連立与党でスタンスは大きく変わりません。

掲げた公約は選挙前ということもあって、与党間で違いを出すためにも、公明党が独自の考えを示したかったというのがあると思います。そのために、公明党は若い世代にフォーカスを当てたと言えます。

そしてもう一つ、公明党は今回、衆議院選挙で維新が躍進したこともあって、第3党の座を奪われました。このことに、危機感を感じていて、夏の参議院選挙に向けて実績を作り、存在感を示したいといった思惑があると思います。

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