進まぬ病院の耐震化 円安・東京五輪が影響[2015/03/05 11:53]

 東日本大震災からまもなく4年です。発災当時、被災3県では380の病院のうち、200を超える病院で津波や地震で建物が被害を受け、患者の受け入れが制限されました。今後の災害に備えて対策が急がれるなか、全国の病院の耐震化率は64%にとどまっています。耐震化の工事で遅れや中止が相次いでいる理由として、「円安」や「東京オリンピック」といった意外なことも影響していることが分かりました。

 震災直後、宮城県石巻市の病院では、入院患者など400人以上が孤立しました。石巻市立病院は壊滅的な被害を受け、現在はすべて取り壊されています。そして、新しい場所に再建工事が始まっていますが、その建設費用は当初の予定の約2倍に高騰しています。建設費が高くなっている理由は、消費税の増税や円安による資材の高騰、さらに東京オリンピックや福島第一原発への対応で人手が不足しているからです。耐震工事が見送られた病院もあります。熊本市は、老朽化した市民病院の建て替え工事を来年度から始める予定でしたが、建設費の高騰で先送りになりました。千葉県にある松戸市立病院もまもなく築50年が経つということで、耐震化が課題となっています。地域の災害拠点病院でもある松戸市立病院は、新病院の建設を始めていますが、当初、134億円と見込まれた建設費用が191億円まで膨らんだため、完成が1年遅れる見通しです。
 松戸市立病院・烏谷博英院長:「助かる人も助けられない。(病院の)耐震性は進めていく優先順位が高い項目だと思う」

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