「再婚規定」「夫婦別姓」で弁論 双方の論点は?[2015/11/04 17:02]

 4日に最高裁判所で民法の2つの問題を巡り、それぞれ大法廷で弁論が開かれました。「女性は離婚後、6カ月間、再婚を禁じる規定」と「夫婦の別姓を認めない規定」。どちらも憲法に違反しないのか。訴えを受けて最高裁は、どのような憲法判断を示すのでしょうか。最高裁前から報告です。

 (社会部・千野壮太郎記者報告)
 (Q.「再婚禁止期間」について弁論での焦点は?)
 この規定については、生まれてきた子どもの父親が誰なのかという争いを防ぐという目的がありますが、これはもともと明治時代からの流れを引き継いだものです。原告側は、禁止期間は女性だけに定められていて、婚姻の自由を制限する差別だと指摘し、「現在はDNA鑑定の技術が発達し、父親を巡る争いは防げる」と主張しています。一方で、国側は「今も規定の合理性は失われていない」としています。海外では近年、ドイツやフランスなどでこうした再婚禁止制度は廃止される流れとなっています。また、DV(ドメスティック・バイオレンス)などの理由で前の夫の子どもとして届け出ることを避けるため、戸籍がないままの子どもの問題もあります。昔に比べ、離婚や再婚が増えているなか、最高裁の判断が注目されています。
 (Q.夫婦別姓についてはどこが焦点?)
 現在、結婚後に働く女性が増えているなかでも、約96%の夫婦が夫の姓を選んでいるという現状があります。原告側は「妻が姓を変えるべき」という社会的な意識が根強い日本社会では現在、多くの女性が業務上の不都合などに直面していて、これは男女平等や個人の尊厳を保障する憲法に違反すると主張しています。この問題を巡っては、1996年に希望する人は夫婦別姓を選べるようにする改正案が答申されましたが、「伝統的な家族の価値観を壊す」という反対論も根強くあり、今も法改正には至っていません。原告の女性の一人は、司法の場に訴えた理由について「政治に期待していては、もうだめなのではないかという差し迫った思いに突き動かされた」と話しています。家族や夫婦の形が多様するなかで、最高裁がどのような判断を下すのか、判決が早ければ年内にも言い渡されます。

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