高齢者運転事故起こさぬため…娘奪われた遺族の訴え[2016/12/31 17:38]

 今年は高齢ドライバーによる事故が相次ぎました。81歳の男が実刑判決を受けた事故で娘を失った母親に話を聞きました。免許制度の見直しを訴えています。

 一年前に亡くなった少女の命日に多くの友人が集まりました。
 訪れた友人:「きっと聖菜は皆が笑うことを望んでいるし、すごいいつも見守ってくれるから『これからも見守って下さい』みたいなことを伝えたいです」
 来てくれた友人に少女の母親が語り掛けました。
 聖菜さんの母親・稲垣智恵美さん(47):「聖菜の分まで皆、元気良く頑張って下さい」
 高校1年生だった稲垣聖菜さん(当時15)は去年12月23日、大好きなバンドのライブに向かう途中、当時80歳の河内節二被告が運転する車に突然、後ろからはねられました。誕生日を2日後に控えての出来事でした。母親の智恵美さんは、ほぼ毎日お墓に行き、聖菜さんに語り掛けます。
 聖菜さんの母親・稲垣智恵美さん:「聖菜の遺骨がちょうどそこの下の部分にあるので、いつもそこに手を当てて。今も見守って頑張ってくれてるんだろなという思いもあるので、『ありがとね』って伝えることが多いです」
 自慢の娘で、何事にも一生懸命取り組み、将来を楽しみにしていました。
 聖菜さんの母親・稲垣智恵美さん:「よく笑って、よく食べて、歌って踊っている子。本当に生きているという感じの子だったのですね。高齢者の運転で亡くなるなんて考えてもみなかったですね」
 今年、相次いで起こった高齢ドライバーによる交通事故。事故全体の件数は年々減少していますが、75歳以上の高齢ドライバーによる事故の割合は上昇し続けています。警察は、高齢者に運転免許の自主返納を働き掛けていますが、他の交通手段が少ない地域では運転せざるを得ない事情もあると言います。今月、さいたま地裁で開かれた裁判で、河内被告に禁錮1年6カ月の実刑判決が言い渡されました。裁判所は、前方不注意、ハンドルとブレーキ操作のミスという3つの注意義務違反があったことを重くみました。
 聖菜さんの母親・稲垣智恵美さん:「高齢者の今後のハンドルを握る手に、この判決は大きな影響を与えると思いますので、そういった意味でも本当に命の重さを汲んで頂いた判決と思い、ありがたく思っております」
 智恵美さんは、判決が区切りではなく、同じような事故が起こらないように免許制度の見直しなど今後も社会に働き掛けていきたいと言います。
 聖菜さんの母親・稲垣智恵美さん:「高齢者の方が車の運転をしなくてもよくなる社会になるようにとか、そういった思いのスタートでもあると思ってます」

くわしくは動画で…

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