万病の原因=老化細胞を除去する治療法確立[2021/01/15 04:00]
体の健康年齢を若返らせることができるかもしれません。動脈硬化や糖尿病など様々な病気を誘発する老化細胞と呼ばれる有害な細胞を取り除き、病気を改善する治療法を東大医科学研究所の中西真教授らのグループがアメリカの科学雑誌「サイエンス」に発表しました。
人間の体には加齢とともに、老化細胞と呼ばれる有害な細胞が増え、動脈硬化や肥満性糖尿病などの老年病や生活習慣病を誘発することが分かっています。
東大医科学研究所の中西教授らは臨床試験中のGLS1阻害剤と呼ばれる抗がん剤が正常な細胞には影響与えずに老化細胞を除去することを突き止めました。
マウスを使った実験では動脈硬化などが改善したほか、筋力も改善したことが確認できたとしています。
人の皮膚の老化細胞にGLS1阻害剤を投与すると輪郭がはっきりしていた細胞が崩れ、死滅したということです。
中西真教授:「こういう治療法を人に応用できれば加齢に伴う疾患というものを一網打尽にできるのではないかと考えています」
一方、この治療法は120歳といわれる人間の最大寿命を伸ばすものではないとしています。
中西教授:「色々な老年病、老化の現象を防ぐことで、今、現実には10年近い健康寿命と平均寿命の差が限りなくゼロに近付けるような治療になるのではないかと考えています」