“2回接種”の緩みも?「ブレークスルー感染」増加[2021/09/05 22:30]

政府は12日に期限を迎える緊急事態宣言について、延長する方向で調整に入りました。そんな中、増えているのが、ワクチン接種後に感染する“ブレークスルー感染”。クラスターも発生しています。

▽往診現場でも“ブレークスルー感染”増加
残り1週間となった緊急事態宣言。政府は、東京など1都3県について、延長する方向で調整に入りました。関西3府県と東海3県などについても、延長を検討します。延長幅は、2週間から今月いっぱいとする案が出されていて、政府対策本部で正式に決定する方針です。
5日、東京の新規感染者は、1853人。14日連続で前の週の同じ曜日を下回りました。

感染力が強いデルタ株の拡大に伴い、自宅療養の現場には、異変が起き始めていました。
救急往診サービス「ナイトドクター」の医師が訪問したのは、40代男性のもと。
(医師)「コロナワクチンは受けられましたか2回とも?」
(40代男性)「(ワクチンの」2回目を7月の3週目に受けました」
ワクチンを2回接種したにもかかわらず感染する “ブレークスルー感染”です。
(40代男性)「嘔吐と倦怠感」
男性は、サービス業で仕事中に感染したと言います。
(医師)「こんばんはナイトドクターです」
こちらの介護職の40代女性も5月に2回目の接種を終えていますが…
(医師)「お鼻だけ少し出していただいて、」
家族内に感染者がいて、女性も検査をしたところ、結果は“陽性”。やはり“ブレークスルー感染”でした。
(ナイトドクター 菊地拓也代表)「皆さんワクチンを打たれていればコロナにかからないと、イメージとしては思われてると思うんですが、現在デルタ株の変異株で感染していって、まさに“ブレークスルー感染”が増加している」
ワクチン接種が進む中、“ゆるみ”から感染するケースも増えているといいます。
(ナイトドクター 菊地拓也代表)「ワクチンを打っている安心感から、集団での食事ですとか、人流があるところに行ってしまったことによって感染したケース、最近は特に多いです」

▽病院で“ブレークスルー・クラスター”発生
“ブレークスルー感染”によるクラスターも起きています。
(森山メモリアル病院 森泉茂宏 副院長)「やっぱり最初、驚きですね。ワクチンを打ってもこのようなことが起きるんだなと」
北海道旭川市の森山メモリアル病院では先月末、患者と職員ら13人の新型コロナ感染が判明。うち8人は2回接種を終えていました。
「徹底して感染対策を行っていたんですが、それにもかかわらず、うつってしまったというのは感染力の強さというのは実感しています。」
高齢の患者が多い病院内でのクラスターですが、ワクチンのお陰で、「無症状」または「軽症」で済んでいると言います。
「(陽性の患者は)70代から90代です。転院する際も歩いて救急車に乗るとか、ワクチンを打つと軽症で済むので、ワクチンは大事だよということですね。」

▽ワクチン効果弱める?「ミュー株」日本でも
しかし、そこに新たな“脅威”が…
6月と7月に空港検疫で確認された変異ウイルス“ミュー株”。ワクチンの効果が弱まる恐れが指摘されています。
ミュー株は、南米コロンビアで、1月に初めて確認されました。その後、4月から6月にかけて感染者が急増。1日3万人を超える日もありました。
(コロンビア国立保健研究所 カルロス・フランコ研究員)「免疫回避や高い感染力につながる一連の変異を起こしているウイルスです。(4月〜6月は)ミュー株が最も優勢で最大52.7%を占めていました。」
ワクチン効果を弱める恐れがある“ミュー株”。WHOは、感染力や重症化リスクについては、更なる調査が必要だとしますが、コロンビアでは、ピーク時に一日650人もの死者が出ています。
現地でコーヒー農家を営む日本人女性は、その猛威を目の当たりにしました。
(コロンビア在住 松尾彩香さん)「若い方でも犠牲になっている方が多かった印象がありますね。未成年だったり子供が集中治療室に入ることがある、(ミュー株で)過去最高の新規感染者、過去最高の死者数っていうので、不安な面はもちろん、全員あったのではないかと思います」
ミュー株はおよそ40カ国に広がり、ベルギーの高齢者施設では、ワクチン接種済みの高齢者7人が“ブレークスルー感染”し、亡くなる事態も…
新たな変異株にどう対処すればいいのか…
(コロンビア国立保健研究所 カルロス・フランコ研究員)「研究はまだ進行中です。日本人にはこう伝えたい。基本的な感染対策は有効です。マスク着用、手洗い、社会的距離を続けて下さい」

9月5日『サンデーステーション』より

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