アルミの削りくず×水で新エネルギー 「水素」抽出[2021/09/14 08:22]
捨てられてしまう廃材と水だけで新しいエネルギーを作りだすという注目の研究が行われています。
見慣れない機材を積んだバイク。水素を使った燃料電池で走っています。
このタンクの中で水素を発生させているのですが、そのもとになっているのは、なんとアルミニウムと水だけ。
福岡工業大学工学部電気工学科・高原健爾教授:「水だけで水素が出てくるというのが特徴の一つだと思います」
福岡工業大学の高原教授の研究室では、アルミニウムの削りくずを加工して再利用し、水素を抽出する技術を研究しています。
ここで水素の抽出に使われているのは、アルミニウムの廃材。これらは工場で金属の部品などを作る際に大量に出るものです。
このアルミを細かくすりつぶして水の中に入れると、出てきたのは大量の泡。これが水素です。
通常、アルミは酸化した膜で覆われていて、水に入れても反応しません。
しかし、高原研究室の技術で、非常に小さな粒子にすることでアルミが水に反応し、水素が発生します。
現在は、アルミ1グラムからおよそ1リットルの水素を作ることが出来るということです。
高原教授は、軽くて安全に持ち運べるこのアルミの粉末を使った技術が、災害時などに役立つエネルギー源になることを期待しています。
福岡工業大学工学部電気工学科・高原健爾教授:「最近、水害が特に多いですよね。そういう水をドボドボッと入れると、水素がブクブクッと出て、情報機器の電源として使えるとか」
ごみとなる廃材と水から新しいエネルギーを。まるでSF映画のような驚きの研究ですが、実用化に向けては課題も多いと言います。
福岡工業大学工学部電気工学科・高原健爾教授:「アルミを精製するのに、ものすごく電力を食ってしまう。(アルミを)加工をして水素発生器に用いることがペイするのかとか、環境に優しいのかという問題がある」
未来のエネルギー源の生成に、更なる効率化を目指して研究を続ける高原教授。研究に参加する学生たちもやりがいを感じています。
福岡工業大学4年・前田諭来さん:「注目されているエネルギーについて、研究や学習をしていけるのはすごく楽しい」
福岡工業大学4年・前田海帆さん:「水素は化石燃料が不足する中で大事になると思うので、今の研究はとてもやりがいを持って取り組んでいます」