診療方針転換 検査キット陽性であれば病院へ…受診の判断基準は?専門家に聞く[2022/01/26 23:30]

政府は医療機関の負担を減らすため、診断の大きな方針転換をしました。

これまでは、発熱など症状が出た場合は、受診をして、医療機関で検査を行い、医師が検査をもとに新型コロナかどうかを診断するというのが原則でした。

ただ、これまで以上に感染が拡大し、医療機関が混雑する、検査もひっ迫するという状態になった場合は、例えば、40歳未満で基礎疾患がなく、ワクチン2回接種済みなど、重症化リスクが低い人は、自ら抗原検査キットなどで検査し、陽性が出れば、受診はしますが、再度の検査をすることなく診断することができます。陰性の場合は、症状が続く時は受診するという方針になりました。

検査キットに関しては、自治体が配布したものや、自身で購入したものを活用してほしいということです。

同居する家族などが感染して濃厚接触者となり発症した場合は、感染した可能性が高いということで、検査をせず、臨床症状のみで診断が可能となっています。

いつ自分が感染者・濃厚接触者になるか分からない状況のなか、自分たちでどう判断したらいいのか。現場でコロナ患者を診察している、国際医療福祉大学成田病院の津島健司副院長に聞きます。

(Q.抗原検査キットは、どこまで正確に判断できるものですか)

津島健司副院長:「抗原検査キットは陽性か陰性かの判断だけで、医療現場でやる検査よりも精度が低いと考えます。さらに、検体の取り方も違い、そこで偽陽性・偽陰性という問題も出てきます。そこの判断をどうみていくのかは、多少疑問に思います。だからといって、抗原検査キットで陽性となると、陽性の可能性が高いですが、陰性だからといって大丈夫かというと、感度が低くなってくると考えています。陰性であっても症状があれば疑ってみることが大事なところです。その判断ができるかは、医療者が関わる必要があるのかなと思います」

(Q.重症化しにくいと言われている年代で、例えばのどが痛いという症状があった時、判断迷う人も多いと思いますが、どうすればいいですか)

津島健司副院長:「症状は本人の感じ方が非常に大きいです。発熱やのどの痛みもそうですが、僕らが『あなたの症状は大丈夫ですよ』と言うのも、なかなか言いにくいところがあります。発熱の状況や他の症状を総合的にみて、治療が必要かどうか判断をしていきます。僕らとしてはみることが非常に大事だと考えています」

(Q.オミクロン株は重症化しにくいとも言われていますが、重症化は懸念した方がいいですか)

津島健司副院長:「僕も数週間前までは大丈夫かなという感覚でみていました。ただ、感染者の集団が増えてきて、肺炎の患者をみることがここ1週間で非常に増えています。基礎疾患を持っている人と、ワクチンを打っていない人が感染して、肺炎を合併してくるのをみています。年齢も関係なくあると考えていますので、やはり油断すべきではないと判断しています」

(Q.医療現場をひっ迫させないために受診控えをする人が出る可能性がある一方で、なるべく患者をみたいという医師の気持ちもあります。そのバランスはどこに見出したらいいですか)

津島健司副院長:「非常に難しいです。患者さんが『これだったら大丈夫だ』と自分で判断した形であればいいですが、隠れてしまって認識が不足する人もいます。そういう人たちのことも考えると、僕らは受診の控えはどうかなと思っています。ただ、濃厚接触者が増えると、待機期間も増えますし、母集団もさらに広がってきます。その方々を全部フォローするとなると大変ですから、多くの医療現場、診療所などの先生たちが関わってくれないと、非常に大変な状況です。もしそういう人たちをみてくれないと、夜間にやっている病院などに集まってきますので、結局は我々のような病院でみることになるため、状況は何も変わらず、患者だけが増えるという印象を受けます。そこを危ぐしています」

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