食品の産地偽装など企業の不正行為を内部告発した従業員に対し、解雇や降格などを禁止する「公益通報者保護法」がスタートしてから来年春で10年になります。ただ、企業側に罰則規定がないことなどからうまく機能していないため、消費者庁で法改正の検討が始まりました。
(経済部・朝日健一記者報告)
検討会では、法制度の不備をどう改善していくかが焦点となります。今回の初会合では、公益通報者保護制度の現在の課題などが議論されました。現在の法律では、事業者が告発者に嫌がらせや不利益な扱いをしても罰則規定がなく、賃金の未払いや不当解雇などが起きています。2006年の施行後、6年でこうしたことによる訴訟が29件あります。そのうえ、報道機関などの外部への通報は内部に比べてさらに保護されにくい仕組みとなっています。今回は、実際に新聞社へ通報をして会社から冷遇を受けた経験者を委員に入れて議論しています。
トナミ運輸元社員で検討会メンバーの串岡弘昭さん:「(Q.現行法をどう見ているのか?)新法のような考えで変えないといけない。根本的に変えなければいけない」
通報者の保護のために通報しやすい環境づくりをどう整備していくか、消費者庁は再来年の法改正に向けて今年度中に議論を取りまとめることにしています。
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