福島第一原発事故の後、韓国が日本の8つの県からの水産物の輸入を禁止している問題。日本側は「差別にあたる不当な措置」だとしてWTO(世界貿易機関)に提訴し、去年、勝訴していました。しかし、12日にWTOはその判断を覆し、日本が逆転敗訴となる最終決定を下しました。WTOは、なぜ判断を変えたのでしょうか。
(経済部・村野俊記者報告)
韓国は1回目の判断で不当に輸入制限をしていると言っていたわけなのですが、その根拠が不十分だったというのが大きな理由です。WTO上級委員会の報告では、韓国がわざと差別的に輸入を規制しているかどうかを判断する時に3つの柱があると指摘しています。このうちの1つ「年間1ミリシーベルト以内の被ばく量を守る」という点だけが1回目に審理され、「差別的」と判断したところが不十分だということです。「日本はあれだけの原発事故があったんだから、国によって事情が違う」という点などについては十分に考慮されなかったのではないかというわけです。
(WTOの判断が変わったことによって他の国や地域に何か影響が出るのではないか?)
日本の水産物に輸出制限を掛けている国や地域はアメリカやロシア、EU(ヨーロッパ連合)が入って23あります。政府は今回のWTOの提訴に勝って、水産物の輸出に弾みを付けたかったわけですが、残念ながら思ったようにはいきませんでした。ただ、安全基準をきちんと検査してから輸出している点については、今回、WTOで認められたということで、今後のアピールにつなげたいとしています。
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