【報ステ】農水省系ファンド“損失92億円”実態は…[2019/06/25 23:30]

 農林水産省が所管する政府系ファンド『農林漁業成長産業化支援機構』の2018年度末の累積損失が、投資の失敗などで約92億円になったことが明らかになっている。支援機構は、成長戦略の一環として国が300億円を出資して設立され、農業や林業、漁業を活性化させるために将来性のある会社に出資し、利益を回収する予定だった。独自入手した内部資料によると、投資先の選定などで、ずさんな審査をしていた実態もみえてきた。支援機構から去年、約3億円の出資を受けた会社は、東京・神田にどぶろく居酒屋をつくる予定だったが、いまだ開業のめどすら立っていない。内部資料によると、事業計画では、どこに店を開くのかすら決まっておらず、出資を決めた会議では『もっと具体的になってから審議してもいいのに、なぜ今急ぐのか』『場所も決まっていない。投資判断ができない』『成功するのは10%にも満たない』と指摘されていた。それにもかかわらず、最後は、社長の権限による多数決で3億円の出資が決まったという。この出資を決めた役員は25日、支援機構を退職した。勤続6年で、退職金は満額の1400万円に上るという。支援機構の原資のほとんどは、公共性の高い事業に対して、政府が国のお金を出したり貸したりする財政投融資で、さらに損失が膨らめば国民負担につながる恐れもある。

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