民営化で“競争の荒波”に “不適切販売”の背景[2019/07/31 20:33]

 かんぽ生命の保険を巡る不適切販売の問題で、31日に組織のトップ3人が会見しました。そのなかで、顧客が不利益となった契約がこれまでの倍の約18万件に上ると明らかにしました。経済部・親松聖デスクの解説です。

 (Q.これまで出たなかでトップ3の会見でポイントになってきたのはどういうところだったのか?)
 まず、販売に関しては郵便局の金融商品全般について当面、積極的な営業を行わないというのが一つあります。もう一つはノルマの話です。今年度のノルマを廃止して来年度以降も今のような形を抜本的に見直すというふうにしています。
 (Q.過剰なノルマが問題の根源にあった?)
 一因としてあったと思います。今回、日本郵政の長門社長が31日の会見で営業目標などが新契約の獲得に偏重していたのではないか、要するにノルマというのが問題だったというふうに認めています。そもそも郵便局というのは、例えば年賀状の販売などで販売ノルマというのは元々ある土壌で、ノルマ文化というのはありました。例えば、年賀状のノルマを達成できないので郵便局員が自腹で買ってそれを金券ショップで販売していたという問題もありました。実際に今、日本郵便は年賀状などのノルマを廃止するような動きも出ています。
 こうしたノルマ文化の続くなかでターニングポイントになったのは郵政民営化です。民営化して保険を売り出す、言ってみれば保険販売の大海原に出て行ったわけですが当然、大手の保険会社がいるわけで、保険ってそんなに簡単に売れるものではないので本当に激しい競争になります。そうしたなかで今回、問題となっている販売をしていたのが郵便局員だったわけです。もちろん、郵便局員の人たちは保険の販売のプロではないので、しっかり勉強をして販売はしているわけですが、やっぱり大手の保険会社の人たちに比べるとノウハウや倫理観などが欠けていた部分も一部の人にはあり、それでこうした問題が起きてしまいました。
 (Q.ノルマの重圧の声を経営陣がどう受け止めたのか?)
 今回、ノルマを廃止するというようなことを長門社長も言っているわけですが、他の保険会社の人から聞くと、現場の声を吸い上げる力というのが今回、問題があったんじゃないかというところがあり、それは実際に現役の郵便局員の取材をしていても自分たちの声がなかなか反映されない、スピーディーに改善されないというところに問題を示している局員が多くいます。
 取材したなかには年間300万円のノルマ。それで例えば月に1万円だと300件契約しなきゃいけないということもあります。ノルマが取られなかった場合には机を蹴られて「お前は何をやっているんだ」と。「もう仕事に来なくていい」という圧力を掛けられたという郵便局員もいます。
 (Q.今、保険に加入している皆さんで自分の保険が心配だという人はどうしたらいいか?)
 かんぽコールセンターに相談して頂くのと、最寄りの郵便局に行って相談して下さい。

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