5G時代を先取り “携帯参入”楽天の戦略に迫る[2019/08/02 15:54]

 今年10月に国内4社目の携帯電話事業者となる楽天。世界初の技術を駆使した未来を見据えた戦略とは。

 楽天・三木谷浩史社長:「今、まさしく5Gの時代がそこまで迫っている。これから非常に発展的な未来の社会の発展がある」
 先月31日から楽天が開催しているイベント「 Rakuten Optimism 2019」。「5G時代を、先取りしよう。」をテーマにした展示では、遠く離れた人とのパス交換やVR(仮想現実)での迫力あるリアルタイム試合観戦。さらには、遠隔地医療を可能にする医療機器など5G時代を一足先に体験できます。楽天は10月から国内4社目となる携帯電話事業者となります。後発となる楽天に勝機はあるのでしょうか。
 楽天・三木谷浩史社長:「我々がやったのは“完全仮想化”。楽天はエンパワーメントな会社ですから、このままでは嫌だと。俺たちはディストラクション(破壊)を起こすんだということで、完全仮想化技術を1年半で完成させました」
 三木谷社長が自信満々で話すこの“完全仮想化技術”こそ「楽天5G」の“肝”なのです。今までの通信ネットワークでは4G、5Gといった回線ごとに基地局を置き換えなければなりませんでした。しかし、今回、楽天が導入する完全仮想化ネットワークは基地局内部のソフトウェアをクラウド上で共有することで、基地局はそのままにソフトウェアを変更するだけで4Gでも5Gでも対応できるようになるという夢のような仕組みです。
 楽天・三木谷浩史社長:「完全仮想化をすることによってネットワークの柔軟性、そして投資金額の抑制、ネットワークのメンテナンス費を大幅に下げることができます」
 さらに担当者によりますと、電波障害など重大な問題が起きた時でも問題のある基地局を遠隔から特定できるようになるなどコスト以外にもメリットがあるといいます。では、なぜ先行の3キャリアはこの技術を導入しないのでしょうか。
 5Gビジネス・イノベーション部事業企画課、奥津淳さん:「他のキャリアさんだと基地局の数で言うと、何十万台という形で設置するなかで、楽天はゼロからのスタートになります。でも、何十万台を完全な仮想化にするにはやはりコストと色々なバランスがあるので、なかなか難しいところ。我々は元々、仮想化をする前提で取り組んでいますので、その辺りの違いが大きいかなと思っています」
 IT企業として蓄積したノウハウを持って携帯電話業界に殴り込もうとする楽天。しかし、スマホジャーナリストの石川温さんは課題もあるといいます。
 スマホジャーナリスト・石川温さん:「課題としてはエリアをいかに充実させるか。大手3社の場合、23区には数万局ある基地局と呼ばれるアンテナがある。現状、楽天はまだ100個程度しかできていない。かなりつながるネットワークになるのは難しいのかなというふうに思います」
 それでも楽天はこれまでの通信業界の常識を破壊すると意気込みます。
 楽天・三木谷浩史社長:「iPhone(アイフォーン)が行っているのがデバイス上のレボリューション(革命)、楽天は車(デバイス)ではなく、道路自体(ネットワーク)に革命を起こすんだ。こういうことがあと2カ月でできるんだって言うことを世のなかに証明してみせます」

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