「GoTo」登録4割…伸び悩む原因とは?記者解説[2020/08/17 20:09]

 GoToトラベルが始まってまもなく1カ月になりますが、この1カ月間の現状を経済部・延増惇記者に解説してもらいます。

 旅行代金の35%が補助されるというのは事業者にとっても魅力的ではありますが、全体の4割止まりという実情が見えてきました。国土交通省の関係者がどう見ているのか取材をしますと、「正直、期待した効果はまだ出ていないんだ」と漏らしていて、登録が進まない理由については手続きが煩雑だと思う事業者も複数いるのではないかと。感染拡大を心配して申請しない事業者も多くいるのではないかなどと分析をしていて、手続きが煩雑、難しすぎるとか、感染を広げたいのか防ぎたいのか分からないといった声は旅館やホテルから多数上がっています。
 一方で、別の国交省関係者は、「効果がなかったと断じるのは時期尚早」だと話していて、一部の地域などではGoToがスタートしてから予約が戻ってきたというケースも見られると強調していて、国交省内でも効果があったのかなかったのか、意見が割れて定まっていないのが現状です。
 足元の旅行商品を販売している大手旅行代理店を取材しますと、「GoToトラベルの前と後を比較すると、予約は微増だ」と話しています。しかも、GoToトラベルが始まる前後を比較しているので、前年と比べると大幅減に変わりはないということで伸び悩んでいるといっていいと思います。
 その要因ですが、大消費地・東京の除外。さらに今度、迎える側です。旅先として人気の沖縄が独自の緊急事態宣言を出しました。行く側、迎える側で、あまり行かないでね、あまり来ないでねという発信をしている状況下ではなかなか旅行マインドは挙がってこないんじゃないかというふうに見ています。
 こうした現状が経済にどれほど影響するのか。野村総合研究所エグゼクティブ・エコノミストの木内登英さんに聞きました。木内さんは宿泊、交通、飲食といった消費の押し上げ効果について、消費者の新型コロナウイルスへの感染への警戒がない場合として当初は、年間8兆7000億円を試算していたわけなんです。ただ、もし仮に現状、ホテルなどの登録が4割にとどまったままで感染への警戒が1年間続くとなると、経済効果というのは3兆4800億円に減ってしまうということですので、5兆円以上変わってくるわけです。これに加えて、東京除外が1年間続くとなるとさらに、2兆8640億円にまで減ると試算しています。
 東京の除外、この巻き返しをどうやって図っていくのかというところですが、東京の除外の解除が政府内で9月に解除する案が浮上しています。ただ、これは感染者数、感染状況次第ではあります。もう一つ、地域共通クーポン残りの15%を補助する、旅先での飲食店での共通クーポンが9月以降に配布される予定です。そして3つ目。GoToイートが9月以降に始まります。こういったキャンペーンで、消費を喚起していく狙いを持っています。

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