給与のデジタル払い…進めたい政府 長所短所は?[2021/04/07 21:45]

 給与をスマートフォンの決済アプリに直接、入金する「デジタル給与払い」について、議論が加速しています。

 銀行口座を介さない給与のデジタル払いは「PayPay」や「楽天ペイ」などのキャッシュレス決済の利用が増加するなか、ニーズが高まっているとされています。

 田村厚生労働大臣は6日、早期の制度化について言及しました。

 田村厚労大臣:「賃金の支払いが議論されたのは承知している。2021年のできるだけ早い時期に制度化をしていきたい」

 ただ、デジタル給与払いが実現すれば預金が減る可能性も高く、銀行業界は慎重な立場を取っています。

 (大木優紀アナウンサー)
 田村厚労大臣が早期の制度化について言及した「給与のデジタル払い」。これで私達の生活はどう変わるのか?田村大臣は「多くの人にメリットがある」と話していますが、一体どういうものなのか?紐解いてみたいと思います。

 これまでは、各企業から各個人の銀行口座に給与は送金されていましたね。それがデジタル払いになったら、企業が各個人の持っている〇〇ペイなどの決済アプリにお給料を送金する。そして受け取った労働者は、○○ペイで直接買い物をしたり、税金や公共料金を払ったり、家族などに送金する…ということなんですが、みなさん、○○ペイ使っていますか?

 (林美沙希アナウンサー)
 使っています。

 (小松靖アナウンサー)
 私は、ほぼ100%○○ペイです。

 (林美桜アナウンサー)
 私は、使っていないんです。

 (大木アナ)
 これ結構分かれる所かもしれませんね。やっぱりコロナ禍もあってタッチレスだったりすると使ってみようかなって人も増えているところかなって思います。政府としてはキャッシュレス決済を促進していきたいという思い、そして銀行口座を開設しにくい外国人でも給与受け取りに使えるという事で、給与のデジタル払いを進めていきたいという考えがあるようです。

 ITジャーナリストの三上さんに伺いました。すると多くの人にメリットがありそうなんです。まず1点目、各キャッシュレス会社が「うちでやってください」という事で、ポイント合戦になるんじゃないかという見立てなんです。だから私たちは給与にポイントがついてもらえる可能性がある。これはお得ですよね!

 (小松アナ)
 斬新ですね。

 (大木アナ)
 ポイントで数%増えたりすると、やった!って感じしますよね。

 (林美沙希アナ)
 どれくらい増えるんだろう??

 (大木アナ)
 さらに企業としても手間や手数料がかからなくなるので、今までは月1の給料日が当たり前でしたけど週払い、日払い、さらには時間払い、その場払いなどもしやすくなるメリットがあるそうです。

 (小松アナ)
 確かに確かに。

 (大木アナ)
 そしてこちら、実現までにふたつの壁がありそうだというのが次のお話。まずは法律の壁。ちょっと私意外だったんですが、労働基準法では給与の支払いは原則現金のみなんですよ!法律上は!で、今私たちが銀行振り込みされているのって特例だったんです。知らなかったですよね?

 (林美沙希アナ)
 えー!元々は給与って手渡しが普通で、今は銀行振り込みが普通になったと思ってましたけど…。

 (大木アナ)
 それが特別に許されている状態なんです。

 (小松アナ)
 そこが法改正されずにそのまま来てるって興味深いですね。

 (大木アナ)
だから今回も政府がきちんと動けば、次のスマホアプリ入金というのも特例として動ける。つまり、法律の壁は政府が動けば超えられそうだなという事なんです。

 じゃあ。安全面の壁というのがちょっと心配です。ハッキングなどによる資金の不正流出の対策はどうするのか?キャッシュレス決済会社がもし破綻してしまった時の補償はどうするのか?このあたりがやはり不安なので、三上さんとしても金融庁がしっかり監視する必要があると指摘していました。

 (小松アナ)
 そうなるとスマートフォンがセキュリティを担保するものになりますよね。今のスマートフォンってご承知のように生体認証ですから、例えば銀行のキャッシュカードなんかより安全性は高いはずなんですよ。ただハッキングでデジタル的に乗っ取られた時にどうするか?それも対策していると思うんで、安全は安全だと思います。

 (大木アナ)
 生活面でもいくつか支障がありそうだなというシーンがあります。例えば、お祭りの屋台などどうしても現金払いという場面をどうするのか?さらに家賃やローンの引き落としなどは銀行口座でやっているのでどうするのか?さらに災害や停電などで決済端末が動かないと支払いが滞り混乱を招くんじゃないか?

 こうした懸念もあったりしまして、厚労省としても強制ではなく選択制という事で動いていきたいとしています。今日は、もしかしたら私たちのお給料のいただき方が変わるかもしれないというお話でした。以上、トレバスでした。

 (「スーパーJチャンネル」4月7日放送分より)

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