いま、『尿素水』が不足しているため、トラックや除雪車などを動かせなくなるなど、物流に影響が出るかもしれません。
茨城県にある食品の配送を行っている運送業者。主に冷蔵や冷凍の商品をスーパーなどに運んでいます。複数の尿素水メーカーに掛け合っていますが、入荷のめどは立っていません。いま備蓄タンクに残っているのは、わずか1カ月分です。
茨城乳配・吉川国之社長:「尿素水がなくなると、浄化するシステムが動かなくなるので、実質、トラックが動かせなくなる」
トラックやバスなど、ディーゼル車から出る排出ガス。尿素を水に溶かした尿素水は、排出ガスに含まれる有害物質の一部を無害化することができます。2010年に排出ガスの規制が厳しくなってから、ディーゼルエンジンの大型トラックの大半で、このシステムが使われています。
運転席のメーターを見てみると、燃料の軽油メーターとは別に尿素水のメーターもあります。それだけ欠かせないものですが、中小企業を中心に、このまま手に入らない状況が続くのではという懸念が広がっています。
茨城乳配・吉川国之社長:「12月は繁忙期で、食品を扱っている冷凍冷蔵車は、エンジンは止められない。生きるために必要な食品のライフラインを担っているから、 尿素水が影響して、十分に食が届けられないのは避けたい」
この時期、雪国でフル稼働する除雪車も尿素水が欠かせません。除雪ができなくなれば、生活にも影響します。
なぜ、尿素水が品薄になっているのでしょうか。
一日最大4万リットルの尿素水を作っていた千葉県内の工場ですが、1カ月半以上、製造中止の事態に陥っています。原因は、原料となる『尿素』を、中国から輸入できなくなったことです。いま日本では、通常の3〜4割、不足しているそうです。
丸山化成・松浦陽平社長:「中国中心の原料で(尿素水を)製造・販売していたため、中国が輸出規制をして、原料が入ってこない」
この会社では別の国から原料を確保し、ようやく今週、製造を再開する見込みです。
丸山化成・松浦陽平社長:「当面、中国の輸出規制が終わらない限り、品薄感は出てくる。最悪、物流が止まってしまう。建設機械も尿素水を使っていて、建設業界も右往左往していて、建設現場も止まる可能性がある。円滑に政府の方で輸入を促進してもらいたい」
そもそも、なぜ、不足しているのでしょうか。
尿素水の原料となる『尿素』。経済産業省の担当者によりますと、日本では5割を国産していますが、3割〜4割を中国からの輸入に頼っています。それが、10月ごろから止まり、『尿素水』が品薄になっているといいます。
その背景にあるのが“米中の対立”です。尿素は、石炭から作られますが、海外メディアなどによりますと、米中の対立によって、アメリカと歩調を合わせたオーストラリアに対し、中国は石炭の輸入を停止。尿素の原料となる石炭の不足に加え、中国国内では「農業の肥料」としての用途が高いため、そちらを優先し、尿素の輸出を制限したということです。
今後、解消されていくのでしょうか。
経済産業省の担当者は「尿素を作る国内メーカーに増産を呼び掛け、すでに、その体制に入ったと聞いている」と答えています。別の政府関係者によりますと、早ければ来年1月ごろに解消できると見込んでいるといいます。
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