ゴミ回収・月へ輸送…成長著しい“宇宙ベンチャー”[2021/12/21 23:30]

民間人でも宇宙へと行ける時代。そんな宇宙へ熱い視線を送っているのは企業も同じです。

東京・日本橋で開かれた宇宙ビジネスに関する展示会。集結したのは、多種多様、20以上の国内企業や団体です。

『アストロスケール』は、宇宙ゴミの回収に取り組んでいます。実は、地球の周りにある10センチ以上のゴミは、3万4000個以上もあります。そこで、アストロスケールが開発した捕獲機は、強力な磁石で宇宙ゴミをキャッチ。捕獲機ごと大気圏に突入させ、燃やすというのです。
アストロスケールゼネラルマネージャー・伊藤美樹さん:「宇宙環境を使い続けるためにも、ゴミ問題・回収は非常に重要」

『ispace』が目指すのは、月への輸送サービス。実は、月には水があるとされ、近い将来、人類の月面生活も可能になるといいます。こちらの会社では、そのときを見据え、月のインフラ整備をビジネスとして考えています。しかも、このビジネス、今、地球が直面している環境問題解決につながる可能性もあります。
ispace・中村貴裕COO:「月には水資源があるので、まさに水素社会。コンパクトな形で水素社会を月で作る。そこで得られるビジネスノウハウは、必ず、地球に還元できると思っていて、地球で直面している“温暖化”“エネルギー問題”を含めた社会課題に対しても向き合い、ソリューションを提供することが大事」

夢物語と思うかもしれませんが、月面着陸を制御するため、東京・日本橋にはすでにミッションコントロールセンターがあります。いろいろなイベントが行われる共用スペースもあります。そして、同じフロアには、JAXA=宇宙航空研究開発機構のサテライトオフィスがあります。このように宇宙ビジネスに関係するさまざまな事業体が同じフロアで、フランクな形で肩を並べています。

いまや世界で広がる宇宙ビジネス。日本政府も国内の市場規模を2030年代に現在の倍にすることを目指しています。そんな熱い宇宙熱に参入しようとしているのは、企業だけではないようです。

福岡市にある『QPS研究所』。衛星から電波を使って地上を定期的に観測。よく見るカメラを使った撮影ではないため、天候に影響を受けることなく、画像にすることができるのがウリです。この技術があれば、災害が起こったときに迅速に状況把握ができ、救助に役立つというのですが、注目すべきは、この技術が、地方発であるということです。

福岡県久留米市の工場では、来年打ち上げる衛星の部品チェックが行われていました。実は、このプロジェクトに関わっている地元企業は、一つではありません。『九州に宇宙産業を根付かせる』を合言葉に地域創生の一環として、22の地元企業が衛星づくりに参加しています。
QPS研究所・市來敏光副社長:「構想段階から、皆さん集まってくれる。『こういうことを今考えているんだけど』『こうやったらできるんじゃない』『今から戻って作ってみる』そんな感じになって作ってれる。そうなるとアイデアから形にするスピード感が圧倒的に早い。それが我々の一番の強味」

成長著しい宇宙ビジネス。未来の可能性を感じる若い人も多いようです。
東京大学1年生・椎野麻悠さん:「宇宙開発フォーラム実行委員会という学生団体に所属していて、宇宙開発に関わるシンポジウムを開催している。(Q.就職先も宇宙ビジネス・宇宙開発に)将来的には、かなり関わっていきたいなと思っている」

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