定額住み放題に最新テック…多様な“再利用”も 空き家問題解決の最前線[2022/05/27 23:30]

いま日本で増え続けている“空き家問題”その解決に向けての最前線を取材しました。

東京都内上空を飛行するドローンの映像を赤外線カメラに切り替えると、あることが見えてきます。

空き家活用・和田貴充社長:「水色の部分があると思うんですが、これが空き家だと思われる場所。東京都の実証実験で、僕たちがやらせて頂いた。青い所というのは熱源がないということ。住んでない、使われていない可能性が高い」

少子高齢化による人口減少、さらに、新築住宅の供給過多などにより、増え続ける日本の空き家。2030年以降、3軒に1軒が空き家になるという試算もあります。

その対策として、空き家を改装したカフェや、手作りの水族館、空き家の古さをそのまま生かした『お化け屋敷』が誕生するなど、様々な有効活用が注目されるなか、空き家をリノベーションし、シェアハウスにした新たな宿泊サービスが人気を呼んでいます。

サービスを運営するアドレス、佐別当隆志社長:「全国どこでも定額制で住み放題で、多拠点で暮らす新しいライフスタイル」

月の会費4万4000円(税込み)を支払えば、個室の利用が可能。敷金・礼金などの初期費用は一切必要なく、Wi−Fi利用料、光熱費などもかかりません。そして驚くのは、全国238カ所ある物件をいつでも利用することができます。

常連の利用者で、東京都内のIT関連企業に勤める大堀優弥さん(25)はこう話します。

IT関連企業勤務・大堀優弥さん:「(Q.どれぐらいの頻度で利用している?)毎日ですかね。私の自宅を解約して、多拠点生活を始めているので」

大堀さんは2年前、東京近郊に借りていた賃貸マンションを解約。全ての家財道具をスーツケースに詰め、これまで70カ所以上を渡り歩いてきたといいます。

IT関連企業勤務・大堀優弥さん:「きょうから甲府に行く予定でして、甲府に1週間いて、次の土曜日に山梨・韮崎に行く」

平日は滞在先から完全リモート勤務。そして、週末には気の向くままに次の拠点へ。

利用者は若者だけではありません。実は全体の約20%が、50歳以上のシニア世代だと言います。

吉田雅彦さん(58):「私バツイチでして、10年前に離婚して一人暮らしをしていたんですけど、やはりアパートだと人との交流が少ないですし、元々農業をしていたので、庭があって作りたいという希望があったので」

吉田さんは3年前に仕事をリタイア。その後、約60カ所に滞在し、畑作りをしてきたといいます。各地の拠点で、若者と共に野菜を育てるのが生きがいになっています。

空き家を蘇らせ、地域の活性化にもつながるというこの取り組み。行政も熱い視線を注ぎます。

上野原市・村上信行市長:「(空き家の利用が)増えるといいですね。上野原市には約600戸の空き家があるんです。たくさん資源があると思ってください。今回のようなことが、どんどん増えて頂きたい」

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