記録的円安も影響…日本のホテル・旅館で“売却”相次ぐ 箱根を視察する外国人に密着[2022/07/20 23:30]

20日に発表された、6月の訪日外国人の数は12万400人と、去年6月と比べて10倍以上に増えてます。

こうしたなか、外国人観光客の受け入れを目指して、コロナ禍に完成したホテルがオープンしないまま、売りに出されるなど、ホテルや旅館の“売却”の動きが相次いでいます。

多くの観光客でにぎわう神奈川・箱根にやってきた1組の団体客。向かった先は旅館ですが、宿泊するわけではありません。

目的は旅館の購入です。家族が別荘のように泊まれる旅館を探しています。

仲介業者:「外の景色を見ながら掘りごたつはすごく人気」

香港で会社を経営する男性:「かわいいね」

10部屋ほどの客室には、それぞれ和室と洋室がありますが、気になる点も。

香港で会社を経営する男性:「私の友人はみんな年齢層が高いので、好きなのは」

仲介業者:「ベッドの方がいいですね」

香港で会社を経営する男性:「洋室が2部屋しかなかったら大問題だ。畳にベッドを置くのは難しい?」

仲介業者:「難しくないでしょう」

一方、大浴場を見た男性は。

香港で会社を経営する男性:「一番一番。雰囲気、それから間取り、温泉。温泉につかりながら眺める景色が素晴らしい」

販売予定価格は数億円ですが、この旅館以外にも複数の宿泊施設を購入したいと考えています。

背景の一つにあるのが記録的な“円安”です。

ホテル旅館経営研究所・辻勇自代表:「国内より購入者は海外が多い。特に中国とか香港が多い。“現金一括”が多いですよ。インバウンドの復活を見越して買う人が増えているのは、売る方にも有利」

今年の初めには1ドル115円ほどだった円相場。現在は140円近くと、外国から見ると2割ほど安くなっている計算になります。

このタイミングを好機と捉え、売却する動きも加速しています。

ホテル旅館経営研究所・辻勇自代表:「インバウンド向けに建てた、2020年の新築のホテルです。売却物件なんですけど、こういうのは今までなかった」

東京オリンピックに合わせて建設されましたが、新型コロナとオリンピックの延期が重なり、完成後もオープンできずにいました。備品もそのままです。

フロンティアハウス・安藤拓哉さん:「運営稼働をさせると、どうしても建物が傷んでしまう。さらに賃料は安価なものしか取れない。いつかチャンスは来ると、時期を待っていました。ようやく円安という追い風が出てきて、海外の投資家は日本の不動産に興味を持っている人が多いので、その人たちに向けて大きく発信していく」

仲介業者には、この半年だけで40件近くも「売りたい」という相談が来ています。

“後継者不在”という長年の課題に加え、コロナ禍で増えた借金を、ホテルを売却することで一気に返済しようとする人もいます。

ホテル旅館経営研究所・辻勇自代表:「銀行で借入している人が多いので、日本人は。現金を持っている海外の人に買ってほしいオーナーが多い。これから良くなる時に売りたいという人が増えてくる」

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