加速する円安で企業は“日本回帰” 政府が24年ぶり“為替介入”[2022/09/22 23:30]

政府・日銀は22日、1998年6月以来、24年3カ月ぶりとなる“ドルを売り、円を買う”為替介入を実施しました。
鈴木財務大臣:「政府としては、こうした過度な変動を憂慮している。投機による過度な変動が繰り返されることは、決して見逃すことができません。このような考え方から、本日、為替介入を実施しました」

発端は、22日未明のアメリカの動きにありました。アメリカの中央銀行にあたるFRB=連邦準備制度理事会が、大幅な利上げを決定。さらに、今後も利上げを続ける姿勢を鮮明にしました。

一方の日銀は22日午前、大規模な金融緩和の維持を決定しました。利上げを続けるアメリカと、緩和を維持する日本。日米の金利の差が拡大するとの見通しから、円相場は大きく揺れ動きました。一時、1ドル=146円台に迫る勢いとなりました。

加速する円安。年初から約30円下落しています。円安は、企業の活動にも影響します。
アパレルブランドを手がける『ワールド』。ロックダウンをきっかけに、中国やベトナムの生産拠点を徐々に国内に戻すことを決定。そこに円安が重なりました。取材した工場での生産量も去年に比べて1.5倍以上に。2年前に比べて2割以上、人を増やしているといいます。
ワールドグループ・大峯伊索常務:「原料費、人件費、海上運賃、輸送費、最後に円安のとどめで、海外でつくるメリットは基本的に非常に少なくなってきた」

国内での生産は、去年は4割程度でしたが、数年後に大半を国内にすることを目指しているといいます。
ワールドグループ・大峯伊索常務:「国内に持ってくるメリットは、自社の工場の技術から品質管理まですべて管理できる。そこは極めて安心だし、不良品はほぼ無いから」

続く円安は、家計の負担を増やし続けます。今年初めは“原油高”が要因でしたが、最近は“円安”を理由にした食品などの値上げが増えています。


それでも、日銀の金融緩和の姿勢は変わりません。
日銀・黒田総裁:「やはり経済回復途上にある。金融緩和を継続する必要がある」

この会見中にも円安が進みました。そして、政府・日銀は、約24年3カ月ぶりの介入に動きました。
市場関係者:「サプライズなタイミングだった。146円に近付いて放っておくと、150円も見えてくる状況になり、手前で踏み切ったんだろう」

鈴木財務大臣は午後6時半過ぎから会見を行いました。
鈴木財務大臣:「(Q.狙い通りの効果は得られたか)今の動きをどう判断するかということだが、いま時点において、一定の効果は数字の上に表れていると。(Q.今回の介入は単独か。アメリカとの調整は)関係通貨当局とは、連絡を常に取り合っている。各国の反応については、相手のあること。コメントは控える」

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