「定額サービス」続々 値段以外のメリット…「墓」も登場 背景に“寺が抱える問題”[2022/12/12 11:51]

今、様々な種類の新しい「定額サービス」が続々と登場しています。今回、密着取材したのは…。

(1)一箱10キロの野菜が届く「定額野菜配達サービス」
(2)家電からコーヒーまで30種類以上の「定額サービス」を利用し、生活を“満喫”する女性
(3)年忌法要や掃除まで対応してくれる“永代供養付き”墓石の「定額サービス」

実は、このサービスは、寺にとっても大きなメリットがありました。最新の定額サービスを利用する人と、サービスの舞台裏を追跡します。

■“お得に”定額サービス利用…値段以外のメリットも

まず訪ねたのは、横浜で暮らす小倉さん一家。育ち盛りの子ども2人がいる小倉家が利用するお得な定額サービスとは…。

小倉さん:「(Q.これはなんですか?)これは、毎月届く野菜の定期購入です」

野菜の定額サービスとは一体、どういうものなのでしょうか?

小倉さん:「ネギ、あとニンジン、サトイモ。今回、ハクサイ、ダイコンも入ってる」

小倉さんの家に届く野菜は、1度の配送で約10キロ。価格は3301円。市場価格より、約30%もお得になるといいます。

そのワケは、曲がったダイコンや折れてしまったゴボウ、サイズの小さいキャベツなど、いわゆる“規格外”の野菜だからだといいます。

さらに、値段以外のメリットもあるといいます。

妻・由真さん:「普段、あまり食べないようなものも入れてくれるので、好きなものの発見になる」

小倉さんの家では、1回の配送で2週間分の量になるといいます。今年5月に始まったサービス「ロスヘル」。始めたのは福井県の会社です。一体なぜ、このサービスを始めたのでしょうか?

エクネス代表取締役・平井康之さん:「捨てられてしまう野菜とか果物を救いたい思いでやり出した。最近は、お子さんが小さいから、食育のために買ったという声もある。家計の助けになっているという声も結構頂く」

食品ロスを減らすことが、大きなきっかけだったのだとか。野菜の定額サービスは、消費者にとっても農家にとってもお得なサービスだったのです。

■追跡定額サービス 達人の活用術「大きなメリット」

一方、定額サービスをフル活用する人もいます。

埼玉県に住む宮城いくえさんは、今まで30以上もの定額サービスを使いこなしてきた「達人」です。その様子を見せてもらいました。

宮城さん:「今から、お昼ごはんを作っていこうかなと思う」

食事の準備に取り掛かった宮城さんですが、ここで早速…。

宮城さん:「冷蔵庫は、中古の家電の定額利用をしてる」

宮城さんが利用しているのは、中古家電の定額サービス。冷蔵庫は月1650円で、引っ越しや不要になった際は費用なしで解約できます。冷蔵庫の他にガスコンロと洗濯機も定額サービスです。

宮城さん:「家電は、最初から買うとなると、高額になりがち。定額にすれば月々に分散する感じになる。初期費用をかなり抑えることができる」

さらに、冷蔵庫の中からも定額サービスが出てきました。

宮城さん:「これは自分で選ばずに、どこのパン屋かどんなパンかも分からない状態で来る」

全国のパン屋さんから月3990円で、ランダムに8個ほどの冷凍のパンを届けてくれるという定額サービス。この日は、大阪の有名ベーカリーから届いたパンが食卓に並びました。

宮城さん:「すぐに大阪に行けって言われても行けないが、こうやって届くと、うれしい」

家にいながら各地の料理を楽しめるのも、定額サービスのメリットです。

宮城さん:「頂きます」

他にも、野菜スープやコーヒーも定額サービスを利用したもの。さらに、宮城さんの部屋を見てみると、定額サービスの商品があふれています。

これほど定額サービスを利用する魅力は、何なのでしょうか?

宮城さん:「必要な期間だけ借りたりとか、不必要な時はキャンセルしたり、お試し利用できるのは、すごい大きなメリットだと思う」

■定額制の「墓」 購入後は月3300円 “引っ越し”OK

暮らしに広がる定額サービス。三重県では、意外な分野で定額サービスが始まったといいます。

その舞台になったのは、お寺?一体、何の定額サービスかというと…。

浄誓寺 稲森栄政住職:「定額制のお墓を出させて頂いた」

なんと、お墓の定額サービス。一体、どのようなものなのでしょうか?

稲森住職:「これが、定額制のお墓」

利用者は現在6家族。墓石は、小さめに作られています。

稲森住職:「この墓の中がくり抜いてあり、その中に、お骨袋に入れたお骨を納めさせて頂く」

石碑と骨壺が一体になっている1人用のお墓です。墓石代などの初期費用は27万5000円。一般的なお墓の平均購入金額は約158万円のため、約5分の1ほどの料金になります。

購入後は、月3300円で年忌法要から掃除や花を供えるなどの管理まで、すべて行ってくれるといいます。

現在、このお墓の定額サービスを行っているのは、全国で32の寺。同じサービスを行っている寺同士では、お墓の引っ越しも可能ということです。

でも一体、なぜ定額制にしたのでしょうか?

稲森住職:「従来、お墓はお墓で素晴らしいものがあるが、お布施の面や、いくらになるか分からないという声が多々あり。全国一律いくらですって」

解約しても、その後は永代供養墓に埋葬されるため、寺が続く限り供養は続きます。

実際に利用している人に、話を聞いてみました。

定額制のお墓 利用者(50代):「夫が40代で亡くなり、お墓も両親が持ってなくて。毎月(3300円)の負担は、経済的には負担にならない。助かります」

■寺側にもメリット…“お墓の定額サービス”背景は?

一方、寺側にも大きなメリットがあるといいます。背景には今、寺が抱える問題がありました。

稲森住職:「(利用者が)引っ越しされたり、ホーム(高齢者施設)に入られたら、連絡がつかなくなる」

墓地の一角にあったのは、積み重なった墓石。近年、墓参りをせず、放置してしまう人が増えているといいます。

稲森住職:「1個撤去するのに、大体20万〜30万円ぐらいかかると言われている。場所が占拠される。もっとサイクルよく行けばいいが、なかなかそうもいかない」

「寺離れ」「墓離れ」という問題が、新たなお墓の形を生み出しました。

稲森住職:「あくまで、きっかけを作ってるつもり。命っていうものを考える時間は、必要だと思う。(利用者と)お互い手を取り合い、伝統を守っていけたら」

(「スーパーJチャンネル」2022年12月8日放送分より)

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