「1食258円」の決まり 物価高で学校給食の献立に苦心「ギリギリの努力でカバー」[2022/12/11 22:30]

部屋に積まれているのは、トイレットペーパーなど日用品の数々。
年末も止まらない物価高が家計を圧迫する中、駆け込みで備える動きが広がっています。

▽“フレンチの定番”に異変 物価高の結婚式
(司会)「新郎新婦のご入場です」
野澤和宏さん(33)・涼夏(31)さん。きのう10日、晴れの日を迎えました。式場に賑わいが戻る一方、結婚式にも“物価高”の影響が…深刻なのが食材の高騰です。
(東郷記念館 柳錠次 婚礼マネージャー)「特にフォアグラですかね。これまでフォアグラなどの食材がここまで入手困難になるとは予想しておりませんでした。社内でいろいろと案が出されたんですけど、我々としては“あん肝”を代替として提供させていただくと。」
質を落とさずに値段を維持する工夫で“フォアグラ”から“あん肝”に変更。他にも…
(東郷記念館 柳錠次 婚礼マネージャー)「衣装の数を減らすとか。キャンドルサービスとか、クラッカーとかバルーンリリースとか、演出関係を減らすとか、今はそちらにあまりお金をかけなくなってらっしゃいます。」
今月行われたアンケートでも、およそ8割のカップルが『できるだけ費用を抑える工夫をして結婚式を開催したい』と回答しています。こちらの新郎新婦も…
(新婦 野澤涼夏さん(31))「食事とかドリンクとかゲストの方のために落としたくないところでしたので、そこは落とさず、ペーパーアイテムの方は自分たちで探して、手作りでつくる部分もありました。」
(新郎 ・野澤和宏さん(33))「楽しんでいただけたと思いますのでそこはすごくよかったなと思います」

▽返礼品で“生活防衛”ふるさと納税に異変
家計を圧迫する“物価高”。埼玉に住むこちらの家族の対策は…
(雁子郁美さん(31))「今年のふるさと納税の返礼品の一部です」
Q.すごい量ありますね
別の部屋にも…
「びっくりされるんですけど…」
これらはすべて、ふるさと納税の返礼品です。どれだけ届いたのか、出してもらうと…
「以上が今年頼んだものです。」
ティッシュにキッチンペーパー、トイレットペーパー、合わせて72パック。
(雁子郁美さん)「こんなに返礼品としていただけて実質負担が2000円ってことで、もうこれはやるしかない。」
『ふるさと納税』は、応援したい自治体に寄付すると、税金の控除が受けられ、実質2000円で返礼品がもらえる制度です。去年は海産物を頼んでいましたが…
(雁子郁美さん(31))「ぜいたく品っていうよりは生活していくうえで必要になるものを注文する方が家計も助かるし、12月末までには駆け込みで1つくらいボックスティッシュを注文しようかなと思う。」

製紙工場のある静岡県富士宮市では…
(富士宮市 企画戦略課 地域政策推進室 杉村浩之主査)「特にティッシュ・トイレットペーパーという日用品については前年比で60%増えている状況。この11月の伸びは大きかったと思う。」
ふるさと納税のサイトを運営する会社によると、今年は生活防衛の手段として日用品への寄付件数が、急増しているといいます。
(さとふる 経営戦略室 広報グループ 大場さくらさん)「ティッシュなどは、昨年比で約2.9倍に、食用油だと1.6倍以上で、砂糖も1.4倍以上に。日用品のお礼品を増やそうと考える事業者・自治体もいらっしゃると思います」

▽予算は「1食258円」給食献立に苦心
「いただきます」
“物価高”の波は学校給食にも…東京・港区にある学校。この日のメニューは、ケチャップたっぷりの「オムライス」と「マッシュルームのポタージュ」。献立作りも一苦労です。
(白金の丘学園 栄養士 芦澤あずさ先生)「給食費が258円です。私たち例年通り258円を超えないように給食を運営しているわけなんですが、給食という性質上、栄養価がきちんと決まっていて、子供たちも成長期でありますので、量を急に減らしたりということもできません。」
オムライスの具材を見てみると、たまごが27%アップ、ケチャップが9%アップなど、ほとんどの食材が高騰しています。1食258円の予算内に収めるために…ポタージュのダシは、鶏ガラから値段が安い鶏ミンチに変更。さらに…
(白金の丘学園 栄養士 芦澤あずさ先生)「この鶏ミンチはそのまま、オムライスの具材になります。今回ミンチからスープをとったので、そのミンチをまたご飯の具材として転用することで、無駄なく単価をおさえて、給食を仕上げることを実現しています。きょうで言うと約1万円くらい鶏ガラ代を節約できたかたちになっています。」
他にも、食用油の高騰を受けて、揚げ物の回数を減らしたり、油の状態を見ながら、1〜2回多めに使うなど節約しています。
(白金の丘学園 栄養士 芦澤あずさ先生)「もうギリギリの努力でカバーしている状態です。」
来年、値上げを予定している食品はすでに4000品目を超えるといいます。

▽値上げラッシュの年末…「物価の優等生」も
物価の優等生“卵”も値上げが続いていますが…
(鶏卵農家 九十九里ファーム 林共和 代表)「もっと値段としてあげてもらわないと我々苦しんですよ」
電気代は去年より3割アップの月100万円。エサ代は高騰し続け、去年に比べ4割上がり、月に1億2千万円かかるといいます。
(林共和 代表)「生産原価がどんどん上がってしまうけど、販売(価格)に関しては全く上がらない」
東京のタマゴの相場は、現在1キロ、273円ですが…
(林共和 代表)「(1kg)300円というのが本当は理想、コストに見合った(販売)価格の改定ができれば」

▽“安さが売り”も限界…もやし生産者の苦悩
帝国データバンクによると、電気代の高騰分を「全く価格に転嫁できていない」とした企業は7割以上にのぼりました。こちらの工場も、その一つ。
(旭物産 林正二社長)「こちらがもやしを製造する工場です。一日に約20万パックこの工場で作られています。」
365日稼働しているこの「もやし工場」。太陽光発電を導入し、コストを抑える工夫をしていますが、先月の電気代は去年に比べ、およそ6割上がっています。さらに、原料の緑豆は円安の影響で過去最高に。もやし栽培に必要な重油も、単価が1.5倍になっています。しかし、もやしの価格は…
「30年前、平成の始めの頃というのは全国のもやしの平均価格は40円したんですね。ところが今、平均価格は30円になっているんですね。もやしイコール安い、安いから買うというお客さんも少なからずいるんですね。」
このままではやっていけないと、「もやし生産者協会」は、先月、新聞紙面でもやしの窮状を訴えました。
「我々も必要以上に儲けようとは思わない。でも、やるだけで赤字では本当に続けていけない。やはりあと5円、10円上がってもですね。ご理解頂いて引き続きもやしを買っていただければと、そういう思いでいっぱいです。」


12月11日『サンデーステーション』より

こちらも読まれています