“日の丸半導体”巻き返しへ日米でタッグ…5年後『2ナノ』量産化へ[2022/12/13 23:30]

14日に開幕する半導体関連の展示会『SEMICONJapan2022』。

イベントの目玉となるテスラ社の電気自動車が会場に到着しました。我々の身近で、半導体がどう使われているのか、分解してわかってもらうためのものです。
テスラ車を分解した日経BP総合研究所・狩集浩志さん:「EVはパワー半導体といって、モーターを動かすための半導体が必要。安全に走るための自動運転の支援機能の半導体も増えている」

使われている半導体の多くは海外製。いま、世界で繰り広げられる半導体の覇権争いに日本は入っていません。
テスラ車を分解した日経BP総合研究所・狩集浩志さん:「次の産業を取りに行きたいというのは、どこの国も考えている。そこは戦い」

こうしたなか、日本とアメリカの企業が13日、最先端の半導体開発で“手を組む”ことを発表しました。
ラピダス・小池淳義社長:「きょうのこの日は、日本の産業界にとって、絶対に忘れない、そういう日になると確信しております」
IBMのダリオ・ギル上級副社長:「ラピダスとIBMは戦略的な技術提携を結び、“2ナノ技術”の開発を継続しながら製品化を目指します」

IBMは、去年5月、世界で初めて、“2ナノ”の半導体の試作に成功しました。これまで台湾や韓国の企業と組んできたIBMが、なぜ最先端“2ナノ”を製品化するにあたり、日本を選んだのでしょうか。
IBM・ダリオ上級副社長:「サプライチェーンをより強靭にすることで、地政学的なリスクを分散できます。日本は半導体産業において機器など生産能力に大きな強みを持っています。20年分の遅れを回復するには時間がかかるでしょうが、私たちは計画を強く後押しします。日本と世界にとって重要だからです」

日本側は、IBMの技術を習得することで、一気に“巻き返し”を図る狙いです。その中心となるのが、発足したばかりの『ラピダス』。カメラ初潜入です。

今月末に完成予定の『ラピダス』の新オフィス。ロゴのイメージとなったのは富士山です。
ラピダス・小池淳義社長:「日本のものづくりが、世界に貢献できるというのが我々の願い」

先月、発足したラピダス。トヨタやNTT、ソニーなど、名だたる日本企業8社が出資して、5年後には、世界でどこも成し得ていない“2ナノ”の半導体を量産化する計画です。

1980年代、“貿易大国”として名を馳せた日本は、半導体の製造でも、世界でトップシェアを誇っていました。しかし、日本の独走に危機感を覚えたアメリカは、1986年、日米半導体協定を締結し、日本が海外メーカーからの輸入を増やすよう要求。日本のシェアが50%以上から10%に落ちていく様子を、当時、日立の技術者だった小池社長は見てきました。
ラピダス・小池淳義社長:「(Q.日本は鼻っ柱を折られてしまった。当時のことが蘇ったりはしない)それはないと思います。半導体が、いろんな産業をやっていくときの基幹であることに関しては、日本だけでなく、アメリカも欧州もまったく同じ状況にあって、各国が手を合わせることで、持続可能な世界がつくれる。(Q.国同士が競り合うが、蹴落とす場合じゃない)そうです」

いま課題となっているのは、日本が立ち止まる間に失った人材です。
ラピダス・小池淳義社長:「働く場がなくて海外に流出した方も結構多い。こういう方々に、日本で、もう一度、やらないかと声をかけている。もう一つは若い人。そこを全面的に支援して、教育改革も政府とやっていきたい」

過去、幾度となく復活を目指してきた“日の丸半導体”。しかし、思い切った投資もできず、破たんの道を辿りました。その反省もあってか、5月の日米首脳会談では、政府主導で、アメリカの技術を日本に持ってくる道筋を付け、ラピダスに700億円の補助も決めています。
ラピダス・小池淳義社長:「今回、非常にありがたいことは、国家プロジェクトで、国・政府が全面的に支援して、一丸となってやっていこうと、リードしてくれたことが一番大きい。今までと全く違う構図になっている。このまま行ってしまうと、日本の将来は本当にあるんだろうか。みんなが思い始めた。我々が目指したいことは、人々が本当に幸せになって、『あぁ俺はいい人生を送ったな』という、そういうものを作りたい。(Q.“幸せ”の基盤になりたい)そういうことですね。(Q.その一つが“2ナノ”)はい」

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