【証券トップに聞いてみた】野村証券・奥田社長[2023/01/04 21:19]

■インフレ徐々に収束で日経平均株価は3万1000円を予想
 (Q.今年の景気と株価の展望は?)
 今年はマクロの経済の動向という意味で一つはインフレ、一つは地政学的な動き、各地で起こっている政治的な動き、こういう影響を大きく受けるのかなと思っている。一方でインフレ等は徐々に収束、ピークアウトが見込まれるので株価の動きというところで言うと、年始は少し2万5500円ぐらいまで売り込まれることがあると思うが、3万1000円を目指して回復してくるんではないかなと考えています。

■気になる物価上昇「春から夏にかけてピークアウト」
 日本については(2023年度で)プラス1.4%の経済成長を見込んでいる。欧米がマイナス成長と言われているので、日本の経済、特にマクロは相対的にいいのではないかと考えている。一方で、気になるところはインフレ、特に資源、食料の値段の動き、こういったところが気になるところではあるが、物価上昇率の上昇具合で言うと春から夏にかけてピークアウトしてくるのではないかなと思ってみています。

■世界同時不況「あまり考えなくていい」
 (Q.世界同時不況はあるのか?)
 世界全体の景気の動きというと気になるところが重なるが、地政学的なところ、インフレ動向、こういうところの動きで気になるなという意見があるのはよく理解しているが、世界同時不況ということはあまり考えなくてもいいのではないかと思っている。

■為替は1ドル=125〜135円で動くと予想
 (Q.円高はどう思う?)
 丁度、今130円割る動きが正月のところで出てきている。私たちの見通しは130円を挟んで125円から135円ぐらいで動くのではないかと考えている。大きく円高に動いてくるということを想定していないが、インフレの動きのなかで、125円から135円を動くとみているのが我々の今のオピニオン。

 (Q.日本経済への影響はプラス?マイナス?)
 為替のところ金利観で取りざたされているがだいぶ動きが落ち着いてきているので、すごくネガティブというところはないと思う。

■物価高への防衛策は「貯蓄から投資」
 (Q.物価高、春から夏にかけてピークアウトするのはなぜ?、対応策は?)
 物価の動き、特にインフレは一番大きかったのがエネルギー価格の上昇、それから合わせて食料の値段、この2つがあった。エネルギーのところ、少しずつ頭打ちというか、高止まりにはなっているが上昇率は落ち着いてきている。それからヨーロッパ少し暖かいようでエネルギー需給も思っていたより悪くない。そうすると『そろそろ高止まりかもしれないが上昇率が落ち着いてくる』これが我々がそう思っているバックグラウンドになる。物価上昇非常に我々含めた皆の生活に影響あるところですけど、防衛策ということだと思うが、色々なことがあると思う。証券会社や金融という立場となると少しでも貯蓄から投資と、あるいはお金を有効に使って頂く、運用してもらうことを積極的におすすめすることで防衛策の一助になればと考える。

■株式相場は「曇りのち晴れ、少し波が高い」
 (Q.ことしの日経平均株価を天気予報で表すと?)
 曇りのち晴れで少し波が高いかなと。そんなところかなと。

 (Q.先行きは明るい?)
 夏にかけてインフレも落ち着き、マクロの景気環境も落ち着いてくると、株式市場も戻ってくるという見方で見ています。

■次の日銀総裁への希望「市場とコミュニケーションを」
 (Q.日銀の金融政策の方向性をどう考える?黒田総裁の後任に重要なポイントは?)
 金融政策私が申し上げることではないかもしれないが、現状のインフレの動き、マーケットの動きを見ながら慎重に考えてくると考えている。特にインフレが高止まりしていくなかで、どのようなかじ取りをするかがポイントになるかなと。次の総裁への期待で言うと、課題がありますので、市場あるいは投資家としっかりコミュニケーションとって頂くことが我々としては一番の希望。

■注目点は「ウクライナ情勢・インフレ・各国の政治体制」
 (Q.ことしの注目ポイントは?)
 3つ挙げて、よろしければ一つは地政学的なところ、特にウクライナの問題、それから資源価格、食料価格、こういったところのインフレの問題、そして各国の政治体制が大きく動いているので、このところがどういう風に動くか、この辺の3つがポイントかなと。

 (Q.アメリカや中国の影響は?)
 アメリカの景気の動きはこれから少し後退局面に入るのが、全体の予想だが、足元で見てるとマクロの状況はしっかりしているので、それほど大きな後退局面に入らなければいいなと考えている。中国で今コロナの感染者が増えているニュースが出ているので、早く収まってくれればいいなと。

■賃上げ「できるところは上昇していく」
 (Q.企業の賃上げは)
 マーケット、物価上昇率が上がって来ているので、各社の状況あると思うが賃上げできるところはしっかりマーケットのなかで上昇していくというのが皆さんにとって一番いいのかなと思う。

こちらも読まれています