節電の「新常識」 お得に暖を! 達人が伝授…“簡単”電気代計算法&“局所暖房”?[2023/02/11 11:00]

厳しい寒さが続く冬は、電気の消費量も最も多くなる時期。家計を圧迫する電気代の値上がりが続くなか、「節電しながら“暖”を取るのは無理…」という悲鳴も上がっています。そこで、節電の達人が節電の「新常識」を伝授します。

新常識(1)では、改めて家電を確認すると、誰でも簡単に使った電気代が確認できる方法がありました。

新常識(2)では、これまでの暖房の概念を覆す“局所暖房”が明らかになりました。

お得に暖を取る“節電の新常識”を追跡しました。

■「安さ」より「省エネ」 星の数に注目

この週末、都内の家電量販店には、少しでも電気代を節約しようと「家電の買い替え」を検討する多くの客の姿がありました。

エアコンを買いに来店:「10年くらい使っているので、そろそろ変えなきゃ…。もう古いからね。電気代のことを考えて」

新しいエアコンを買いに来た夫婦。一番気にしているのは、やはり消費電力です。

エアコンを買いに来店:「どれくらい(消費電力が)かかるのかなと。古い機種だと、電気代がかるみたいだから。ただ、本体価格があまりに高いと、電気代が安くなってもね…。その辺のバランスですかね」

様々なメーカーを見比べている2人。すると、こんな会話が聞こえてきました。

妻:「省エネの…星がいくつ?」
夫:「省エネはね、こっち5と4」
妻:「5と4…ふ〜ん」
夫:「年間1万円違う?年間1万円違ったら、あっという間に追い越すもんね」
妻:「そうだよね…」

「星が4つ」に「5つ」って、一体…?

ヤマダホールディングス 経営企画・清村浩一室長:「電気代を気になさる場合は、省エネラベルの星をご確認いただく。電気料金がどのくらい安くなるのか、効率がいいのかをご理解いただくために、星の数で、その性能を表しているもの」

商品に掲載されている、星マークは「統一省エネラベル」と呼ばれるものです。

冷蔵庫やエアコンなどの製品に対し、能力や仕様の違いに関係なく、省エネ性能を比較できるというもの。星の数が多いほど、省エネ性が優れています。

ラベルには、年間の目安電気料金も記載されています。例えば、この23万円・14畳タイプのエアコンは「省エネ性能」が最高の星5つ。1年でかかる電気代は、およそ3万円です。

一方で、同じ14畳タイプでも7万円ほど価格が安い、星2つのエアコンは、年間でおよそ4万4000円と、1万円以上の差がついているのです。

清村室長:「省エネ性能が高いものは、今支払う価格は高いが、10年間使用するということを見据えれば、圧倒的に省エネ性能が高いほうを選ぶほうがお得になる」

エアコンを買いに来店:「車でいう燃費みたいなものだから、大事な部分。省エネのマークで、これだけ違うよって話だから。目安になったと思う」

■達人が伝授…“節電の新常識”

できるだけ電気代を抑えながら、この冬を乗り切るには、「家電選び」も重要なポイントですが…。

一人暮らし 80代:「そんなに使ったと思わないのに、すごく高い。いや〜…これ以上節電できないから…」

今、家にある家電を「どう活用し、節電したらいいか分からない」という嘆きの声も聞こえてきます。そこで、助けを求めたのは“節電の達人”・藤山哲人さんです。

家電ライター“節電の達人”・藤山哲人さん:「今までの節電方法だと、もう立ちいかなくなっちゃうという人が、かなりいると思う」

電気代高騰の今を乗り切るには、節電の常識を変えなくてはいけないといいます。そのやり方を教えてもらいました。

東京・練馬区に住む臼田さん(77)。家族3人で暮らしています。

臼田さん:「(電気代が)12月が1万4000円ぐらいだった。1月の末が2万6000円ぐらいになって、びっくりしている」

藤山さん:「すごい寒い時期が続いてましたもんね。エアコン使ってらっしゃるとか?」

臼田さん:「そうですね。なるべく節約したいけど、やっぱり寒い。風邪ひいたらね…年ですし」

高騰する電気代が家計を圧迫。年金だけでは足りず、貯金を取り崩しながら生活しているといいます。どのように暖房を使用しているのでしょうか?

臼田さん:「(午前)7時から7時半ぐらいの間にエアコン入れてしまう。日が差してれば、朝食終わるころには暖かそうだから、(エアコンは)消しましょうという感じになる」

朝起きてすぐに、エアコンを起動。日中は節電のため電源を切り、厚着してしのいでいますが、夕方から寝るまで、再びエアコンを…。1日の使用時間は、およそ7時間。エアコン以外の暖房器具は…。

藤山さん:「パネルヒーターですね、温風が出るやつ」
臼田さん:「足元が温かいです」
藤山さん:「これは、起きたらつける?」

床に置いてあったのは、電気で動くヒーターです。電気代節約のためヒーターを併用しているとのこと。寒い日だと1日12時間稼働しているといいます。ところが…。

藤山さん:「これも、ちょっと電気代を高くしている原因」

実はヒーターを使うほうが、電気代がかかっているのだといいます。

藤山さん:「どの家電が、どのくらい電気代がかかっているかは自分でも計算できる。こういう家電には、必ずワット数が書いてある」

着目するのは、家電に貼られた型番などが記載されたシールです。このヒーターの場合、消費電力は1200ワット。これを計算式に当てはめます。そして、料金単価と時間を入れれば、12時間でおよそ446円の電気代がかかる計算になります。

一方で、臼田さん宅のエアコンの場合、消費電力は440ワットで、同じ時間使用してもおよそ163円。

藤山さん:「実は、これ(ヒーター)よりも、エアコンのほうが電気代は安い」

節電だと思い使っていたヒーターのほうが、結果的に高くなっていたのです。

同じ使用時間の場合、ワット数で電気代が変わるため、より小さなワット数の家電を選ぶことが、節電に繋がるということです。

■達人が伝授…“局所暖房”で節電

続いて、達人が提言する真冬の電気代を節約する方法は…。

藤山さん:「自分だけを温めたりとか、自分の部分だけを温めたりする局所暖房という考え方に、チェンジしていただくのがいいと思う」

部屋全体を暖めるのではなく、ピンポイントで暖める“局所暖房”という考え方です。

例えば、1人用のフットマットです。12時間使っても電気代は、たったの1.5円です。

藤山さん:「今までは、部屋全体を暖めるという考えが主流だったが、電気代の高騰があるので、人がいないところまで温めるというのは無駄になってきている」

“局所暖房”は、自分の周りだけ温めれば良いため、温度設定を低くすることができ、さらに節電できるというメリットもあります。

局所暖房を上手に活用することで、節電しながら冬を温かく過ごすことができるといいですね。

■“究極の局所暖房”は…“着る”タイプ

そのさらに上を行く“局所暖房”もあるそうです。

藤山さん:「それが“究極の局所暖房”です!」

藤山さんがオススメするアイテムは、何と“着るタイプ”の電気毛布なのです。毛布で全身を包み、付属のコンセントを繋ぎます。

サーモカメラで撮影してみると、毛布が徐々に温まっていくのが分かります。

温度は調節でき、「強」の設定で使ったとしても、消費電力は40ワット、1時間たったの0.8円です。着たまま家事をすることも可能です。

そして、こちらは普通のダウンベストかと思いきや、実は電源を入れると温まる、「ヒーターベスト」と呼ばれるものです。

胸元のスイッチを押すと、表面温度では分かりにくいですが、ベストを脱いでみると、着ていた部分の温度が上がっているのが分かります。

このヒーターベストの電源は、付属のモバイルバッテリー。1回の充電でかかる電気代は、たったの18.6円です。フル充電しておけば、最大9時間使うことができます。

藤山さん:「(東京電力は)6月に電気代を約30%値上げするという話なので。今年の冬もそうなんですけども、来年の冬を見越した暖房の使い方を考えたほうがいいと思う」

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