河野太郎デジタル担当大臣が疑問に答えた 「マイナンバー法改正案」成立で何が変わる[2023/06/01 20:00]

マイナンバー法改正案が2日にも参議院本会議で可決、成立する予定です。
しかし、他人の銀行口座や保険証の情報が誤って登録されるなど、マイナンバーカードをめぐるトラブルも相次いでいます。

河野太郎デジタル担当大臣がテレビ朝日「羽鳥慎一 モーニングショー」に生出演し、40分以上にわたって問題への対応や、不安や疑問に答えました。

■マイナンバー法改正でなにが変わる?

マイナンバー法改正案が成立するとどういうことになるのでしょうか。

●健康保険証が廃止に
現行の健康保険証が来年の秋に廃止され、マイナ保険証に一本化されます。
※最長1年間の経過措置あり

●マイナンバーの利用範囲拡大
社会保障・税・災害対策の3分野に限定されていましたが、今回の改正で国家資格などの手続き、自動車登録などの分野でも利用されるようになります

●マイナンバーと預貯金口座のひもづけ
年金受給用の金融機関口座が「公金受取口座」に。
※通知が来て、本人が「同意しない」意思を示さなければ「同意」とみなす

Q.マイナンバーカードの普及をなぜ急ぐのか

河野大臣)
デジタル化していくことで世の中も便利にしていきたいと思っていますし、人口が減って高齢化が進む中で、国も自治体も行政を効率化していかないといけません。そんなに行政の職員の数も増やせませんから、そうすると事務的なところはマイナンバーカード、マイナンバーのシステムで効率化して、本当に必要な仕事に職員を充てていくということをやらないと、自治体は回らないと思います。

■「デジタル庁の態勢ができていなかった」 相次ぐトラブル 背景は?

Q.マイナンバーカード活用拡大で不安を感じている人が多い

河野大臣)
色々、国民のみなさんが不安になることが起きてしまい、そこは申し訳ないと思っています。ただ、いずれの事案もマイナンバー制度、マイナンバーカードのシステムに起因した問題ではないということをご理解いただきたい。

ただ、現実にいくつか問題が起きています。
コンビニの証明書交付で別人の住民票や戸籍謄本の写しが発行された、登録を抹消した古い印鑑登録証明書が誤って発行されたという事案を除いては、人間が作業をやったことによるヒューマンエラーでした。

最初に報告が上がった時、本来、デジタル庁が対応するシステムの改修をして食い止めなければいけなかった。デジタル庁の態勢、その他、しっかりできていなかったというのは申し訳ないと思っています。
そういうものを一つ一つ起こさないように、そしてどうしても人間が間に入れば確率は少なくてもミスはありますので、なるべくシステムで色んなことができるようにしていかなければいけないと思っています。

■「マイナカードでマイナポータルに入って使われたデータの確認を」

Q.国民の4分の1が申請していない背景に情報が漏れるのではという不安がある。例えば使われたらプッシュ通知で来たり、疑問を訴えられる第三者機関を作ったりできないか。

河野大臣)
まだプッシュ通知やメールでお知らせするところまではいっていませんが、マイナポータルを見ると、行政機関の間でデータ連携が行われたものは全部リストになって出てきます。マイナポータルに入っていくというひと手間はかかりますが、行政データに連携された時には、「どこでいつ」というのが見えるようになっています。
マイナンバー制度というのは、全ての国民にマイナンバーが振られて、いま行政で使っています。自分のデータがどこで使われた、どういうデータ連携がされたと、マイナンバーカードでマイナポータルに入れば確認できますから、しっかり確認をしていただければと思います。

第三者機関については、個人情報保護委員会というのが既に立ち上がっていますし、これは独立した第三者機関ですから、何かあればそこにご相談いただくということだと思います。

■相次ぐ保険証のトラブル 今後はどう防ぐ?

全国2440の医療機関のうちマイナ保険証でのトラブルは63.8%にものぼる(全国保険医団体連合会)。
別人の情報が表示されるなど、重大な事故につながりかねないケースも。
また、マイナ保険証を持参してもシステムに反映されておらず、無保険扱いになり窓口で10割請求されるなどの事案が全国で393件起きている。

河野大臣)
マイナンバーカードと保険証をひも付けることで医療の質を高めることができると思っています。データに基づいた最適な医療を国民のみなさんに受けていただく必要があると思いますし、匿名化したデータで日本人にとって、こういう病気、症状の時には、こういう治療が一番いいというエビデンスを集めるということにもつながっていきますので、そこはしっかりやりたいと思っています。
例えば、名前のフリガナが違う、住所が正しく表示されないというのは、マイナンバーカードやマイナンバーの問題ではなくて、これは健保組合など保険者がみなさんの情報を登録する時にフリガナを誤ったり、住所を間違えたりしている。それは保険証でも同じことになってしまいます。

他人の情報がひも付けられてしまうというのは、本来は保険者がマイナンバーを本人からいただき、マイナンバーでシステムと照合すれば、間違いなく本人確認ができるのですが、もらわないで仮名(かな)の名前と生年月日などで照合すると、結構、生年月日と仮名が同じになる人はいます。そこで誤登録になってしまったので、6月1日からマイナンバーをきちんともらって保険登録の手続きをしてもらうということにしています。これでかなりの部分は防げます。

■保険証はなぜ来年秋の廃止に?

Q.マイナ保険証はまだ国民の半分ほどにしか普及していない。このまま保険証を廃止すると、事務が滞るだけではなく、高齢者はもともとデジタルに弱いのでそういう人たちに対応で病院は追われることになる。

河野大臣)
医療界の中には、デジタルに抵抗がある方が結構いらっしゃいます。コロナワクチンの時にも、ワクチンの記録システムを使ってくださいという時に抵抗があって、あのシステムをいれなければ職域接種や大規模接種はできなかったので、かなりシステムを簡略化して使っていただきました。
緊急事態でどこかで人が倒れましたという時に、マイナンバーカードと保険証がひも付けられていれば、この人が過去どういう病気でどういう薬を処方されたかというのが救急車の中でも確認できる。だから、むしろいざという時に役に立つと思います。

今でも、保険証を忘れました、あるいは保険証が更新されてなかったという時がありますが、そういう時に全員10割負担かというと、病院によっては「月内に持ってきてね」「とりあえず自己負担分で」という対応をしているところがあります。これは別にマイナンバーカードが保険証とひも付けられても、対応は保険証と同じようにやって構わないわけです。

また、顔認証か暗証番号4桁を入れれば本人確認ができる。あるいは医療機関がマイナンバーカードとご本人を見て、目視での確認もできるようになりますので、高齢の方で「私、デジタル弱いんだけど」と思われている方もそこは安心して使っていただけると思います。

Q.マイナ保険証は進めていくとしても、保険証廃止は十分に普及してからでいいのでは。併用は無理か

河野大臣)
来年廃止になりますが、保険証は1年は使える。切り替えがありますから、その後はマイナ保険証でやることにしていきたいと思っています。

Q.トラブルが続いていたとしても来年秋の廃止は見直さないのか

河野大臣)
大きなトラブルが起きたとして、どうするかということは厚労省で判断されると思いますが、少なくとも来年の秋に向けて一つ一つそういうトラブルの原因を取り除いているところです。私としては間に合うタイミングできちんとしたシステムを動かすことができると思っています。

例えば高額療養費、マイナンバー保険証でいけばもう、高額療養費の対象だからということになりますし、確定申告をする時の医療費控除もマイナポータルで入れば領収書を1年分かき集める必要もなくなりましたので、そういう事務的なメリットというのも多くの国民に受けていただけるのではないかと思っています。

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