シャインマスカットなぜ安い? 栽培面積10年で7倍 狙い目は味OKの“規格外品”[2023/09/21 11:35]
「異例の安さ」になっている高級ブドウ、シャインマスカットについて、なぜ500円前後という破格の値段が実現可能なのか取材しました。
■桃農家から“くら替え”も…生産者↑
20日に、山梨県で人気のブドウ狩り農園を訪れると、農園での人気ナンバーワンは、もちろんシャインマスカット。
埼玉からの来園客:「おいしいですね。甘くて」
勝沼グレパーク 岩森寛人さん:「やっぱり人気は依然高いですね。食べておいしい、見てきれい」
値段も高く高級なイメージのあるシャインマスカットが、番組の取材で780円、さらには398円と驚きのお手頃価格で売られているスーパーがいくつもあるとお伝えしました。
なぜそんなに安い値段で売られているのでしょうか?さらに取材を進めると、様々な理由が浮かび上がりました。
山梨県にある「道の駅富士川」に行ってみると、ここに安さにつながるヒントがありました。
こちら道の駅では、シャインマスカットがズラリと並んでいます。足を止めてみている人もいます。価格を見てみると、700円に500円とリーズナブルなものも多く見られます。
ずらりと並ぶ1000円以下のシャインマスカット。訪れた人も、次々と手に取ります。
東京からの買い物客:「今で2000円くらいで東京のスーパーで売っている感じ。(道の駅は)スーパーよりも2、3割は安いと思います」
道の駅に卸しているシャインマスカット農家に話を聞くと、みえてきたのは別の果物からシャインマスカットに切り替えた“くら替え”農家の存在です。
以前は、「巨峰」などの品種を育てていたシャインマスカット農家・小林孝幸さん。シャインマスカットへとシフトチェンジしたのはおよそ5年前だったといいます。
小林さん:「シャインマスカットが割と人気が出てたので、新しい品種のブドウを作ってみようと始めた」
なかには、桃農家からシャインマスカットに“くら替え”した農家もいるといいます。実は今、小林さんのようにシャインマスカットを新たに栽培する農家が増え続けているのです。
■4割は“規格外”道の駅や特売コーナーに注目
2011年には26の都府県で栽培されていたシャインマスカット。2020年には沖縄と岐阜以外の45都道府県に広がり、10年で全国の栽培面積は7倍に広がりました。
現在では沖縄以外の46都道府県という、ほぼ日本全国で栽培されるまでになっています。
こうした生産量の増加も安さの一因になっているといいますが、理由は他にもありました。
小林さん:「必ずしもブドウを作っている人たちが、全部100%良いブドウとは限らないので、規格外のも出てしまいます。そういうのは、なかなか出せない。農協には…」
粒が均一でないといった理由などで値段が安くなる「規格外」品。大きさはバラつきがあっても、糖度や味は文句なしの品がほとんどです。
百貨店などに並ぶ見た目がきれいなシャインマスカットを育てるためには、余分な実を落とし粒の数を調整、成長を促進させ、房の形を整えるなど細かい作業が必要です。
しかし、小林さんはこう話します。
小林さん:「木を育てないといけないから3年から4年ぐらいはかかる、出荷するには。最初は上手にできたブドウもあるが、規格外の方がどちらかというと、平均すると半分ぐらいは規格外、4割ぐらいですかね」
現在は、シャインマスカットの栽培を新たに始めた農家が多いため“味は良いけれど粒が不ぞろい”といった規格外品も数多く流通しているといいます。
そうしたシャインマスカットは農協などに出荷できないため、道の駅やスーパーの特売コーナーで手に入る可能性があります。
小林さん:「多くの人にシャインマスカットを食べてもらえればと思って、低料金で提供したいと思います」
(「グッド!モーニング」2023年9月21日放送分より)