「気候テック」世界で市場急成長 温暖化対策をビジネスに【SDGs】[2023/09/24 18:40]

 テレビ朝日は「未来をここから」プロジェクトの一環でSDGs(持続可能な開発目標)企画を伝えています。地球温暖化対策を目的とするテクノロジー「気候テック」の現状を取材しました。

■「気候テック」世界で市場急成長

 統計上、過去126年で最も暑い夏となった日本。9月に入っても猛暑や局地的な大雨による水害が続きました。農作物の生育にも影響が出ていて、農家は深刻な被害を受けています。「地球沸騰化時代」とも言われる現在、どう対処していけばいいのでしょうか。最新のシステムを取り入れ、収穫量を2割アップさせた九条ネギ農家を取材しました。

 あぐり翔之屋 森上翔太代表取締役:「露地栽培になってくるので、基本的に天候の影響をすごく受ける」

 気候の変化に悩むなか、2年前に取り入れたのは気象センサー「ソラテナ」です。気温・湿度・雨量・風速などを1分ごとに観測します。データを蓄積することにより、的確な対処をとることができるようになったといいます。

 あぐり翔之屋 森上翔太代表取締役:「雨が少ないって今年、言われていますけど、実は8月の雨量は例年より降っている。今までは、感覚で『ちょっとやばいな、(水を)いっとこか』。(今は)正確な判断ができるようになった」

 こうした地球温暖化対策などを目的とした技術は「気候テック」と呼ばれていて、最近、世界の市場で注目を集めている分野なのです。

 サステナビリティ経営に詳しい PwCJapan 磯貝友紀さん:「世界全体のベンチャーキャピタルの4分の1ぐらいの金が『気候テック』に流れている。4年間で3倍ぐらいに成長している。7兆円くらい」

 現在、脱炭素技術ランキングで日本の企業はすべての項目でランクイン。4項目では1位となっています。しかし…。

 サステナビリティ経営に詳しい PwCJapan 磯貝友紀さん:「なかなか(日本は)実装する、ビジネスにしていくところにハードルがあって、実際に世界に出回って事業になっている事例は少ないのが現実」

 世界から大きな期待が寄せられている技術大国・日本。今後、気候変動に対して積極的な役割を果たすためには課題があるといいます。

 サステナビリティ経営に詳しい PwCJapan 磯貝友紀さん:「日本は2つの問題があるかなと思います。1つは、本当に意思決定のスピードが遅い。(社内)稟議(りんぎ)を回すだけでものすごい時間がかかって、結局何かをスタートする前に諦めざるを得ない。2つ目は、すごく失敗を恐れる文化がある。うまくいかないと社内で批判されたり、出世に影響したりとか。自ら何かやるより、やらない方が評価されることも多い」

 この「気候テック」市場で日本の企業が成長するには、様々な業界や企業を巻き込んでいくかじ取り役が重要になるということです。

こちらも読まれています