なぜ?春節人気5位の岐阜 中国SNS登録者“人口超え”青森[2024/02/11 10:55]

 今年は延べ90億人が帰省や旅行などで移動するという中国の「春節」。中華圏の人がよく利用するツアーサイトのランキングで急上昇しているのが岐阜県です。一体、何が彼らの心をつかんだのでしょうか。

■岐阜に訪日客が殺到…背景に「承認欲求」?

メ〜テレ 小松崎花菜アナウンサー
「岐阜県の郡上八幡です。この辺りはきれいな川も流れている自然豊かな場所です。街を見てみると、中華圏の観光客が非常に多くみられます」

 岐阜県のほぼ中央に位置する、郡上八幡。お盆に徹夜で踊り明かす「郡上おどり」で知られる観光地で、“天空の城”とも呼ばれる郡上八幡城が街のシンボルです。

 春節の人気観光地ランキングで、東京、大阪、北海道、京都といった定番の観光地に続き、岐阜が5位にランクイン。しかも、前年比200%だといいます。この結果に地元の人は…。

創作和小物カフェ 花篭 山根さきさん
「(Q.岐阜が5位に入ったんですよ)おお、すごい!魅力度ランキングでいつも下の方に岐阜県があるけど、やっぱり世界的な目線で見て、岐阜県がランキングの上位に来ることはうれしい」

 観光バスの駐車場では、中華圏からのツアー客がひっきりなしに訪れていました。なぜ今、岐阜が注目されているのでしょうか。

中国向けマーケティング会社 ENJOYJAPAN 中山隆央取締役
「SNSの時代だからこそ、(岐阜には)写真映えをする、雪が降る風景みたいなことも含めて日本らしい場所というのがある。『こんな良い所があるの』『知らなかった』というのが、ある意味新しい、彼らの承認欲求になっている。岐阜の順位が上がってきたのは、恐らくそういった心理的な背景もあるんじゃないかなと思いますね」

 中華圏のSNSを分析してみると、過去に日本の定番の観光地を訪れた人が、その後は“知られざる観光地”を探して楽しむ、という傾向がみられるそうです。

 岐阜を訪れていた訪日客に聞くと、その多くが“日本のリピーター”でした。

台湾からの観光客
「東京といえばショッピング。ここはリラックスできる町ですね。良い風景を眺めてゆっくりできます」

■日本の盆踊り満喫!踊り子も言語学び万全態勢

 訪日客は、岐阜のどんな魅力を発見したのでしょうか。

台湾からの観光客
「来日前に調べて、食品サンプルが有名だと知りました。精巧で素晴らしいです」

 実は、郡上市は食品サンプルの生産量が“日本一”。特に寿司などの和食のサンプルが訪日客に人気だそうです。さらに、台湾のツアー客が訪れていたのは、400年以上続く「伝統」が体験できるスポットです。

メ〜テレ 小松崎花菜アナウンサー
「郡上の代表的な盆踊り『郡上おどり』のレクチャーが行われています。皆さん踊りを真似ていますね。楽しそうです」

 中華圏からの観光客を迎えるため、スタッフが言葉を覚えて踊りをレクチャーしていました。

台湾からの観光客
「とてもにぎやかで素晴らしいです。台湾に帰ったら、親戚や友達に踊りを紹介します。機会があれば、夏に皆を連れてもう一度やってみたいです」

 延べ90億人が移動するとされる今年の春節。地域を挙げてお祝いムードを高めています。

郡上八幡観光協会 兼山勝治副会長
「今回良い結果になっていますので、それにプラスアルファして、こちらからの発信もしていこうかなと思っています」

■青森の絶景へ…トレンドは“四季”と“安らぎ”

ABCテレビ 鷲尾千尋アナウンサー
「祭りで実際に使われた『ねぶた』が展示されている施設なんですが、このシーズン、お客さんの約7割が中華圏からの観光客だということです」

 青森市中心部にある「ねぶたの家ワ・ラッセ」。東北三大祭りの一つ「青森ねぶた祭」のお囃子(はやし)を聞いたり、踊りを体験できたりと、海外でも話題を集めている観光施設です。

 “青森人気”の背景にはSNSの存在がありました。中国のSNS「ウェイボー」で開設された青森県観光局のアカウント。その登録者数は、なんと130万8000人。青森県の人口118万人を大幅に超える数字です。

ABCテレビ 鷲尾千尋アナウンサー
「多くの観光客の方で行列ができています。特にアジア圏からの観光客の方が多いような気がしますね」

 春節を迎えた10日、青森市の南側にそびえる八甲田連峰には、多くの訪日客が訪れていました。

 中国・広州から来た石さん。SNSで青森の写真を見て、その自然の美しさに惹かれたと言います。

中国・広州からの観光客 石さん
「青森は季節ごとに景色が変わります。夏は緑、秋になると紅葉があって、冬は真っ白な雪景色。きれいですよね」

 石さんは、「日本の四季を楽しみつつ、より“穏やか”に過ごしたい」という思いから、人が集中する大都市を避け、青森などを旅行先に選ぶのが中国の旅のトレンドだと話します。

■−8℃の極寒の中「1年で数回」貴重な雪景色

 そんな石さん、今回の旅の一番の目的は…。

中国・広州からの観光客 石さん
「ツアーで樹氷を見に来たんです」

 「樹氷」とは、木に雪や氷が付着しながら成長する氷の塊。観光客から人気を集める一方で、樹氷ができるのは吹雪が頻繁に起こるような厳しい環境であるため、観光客がはっきりと見ることは非常に難しいのだと言います。

中国・広州からの観光客 石さん
「今子どものように興奮しています。ガイドさんは先ほど写真を見せてくれましたが、自分の目で確かめたいです」

 標高1324メートル、気温マイナス8℃。果たして念願の樹氷を見ることはできるのでしょうか…。

中国・広州からの観光客 石さん
「すごい。本当にきれいな景色」

 目の間に広がっていたのは、樹氷の造形が持つ不思議さと大自然の美しさが織りなす絶景。地元の人によると、ここまで美しく樹氷が見られるのは1年で数回程度だと言います。

ツアーガイド
「Please taking pictures!(写真を撮って下さい!)いつも見えないもんね!きょうはスペシャルなので。Please taking pictures a lot!(写真をいっぱい撮って下さい!)」

 訪れた訪日客らは写真や動画で絶景を収め、なかにはその場でSNSにアップする人も。

中国・広州からの観光客 石さん
「青森に来たのは正しい選択でした」
「(Q.良い思い出になりましたか?)一生忘れられない思い出になると思います」

(サンデーLIVE!! 2024年2月11日放送)

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