「高密植栽倍」で効率アップ 日本の農業の未来を変える挑戦【SDGs】[2024/02/26 12:45]

 テレビ朝日では、未来をここからプロジェクトの一環で、気候変動問題などSDGs(持続可能な開発目標)企画をお伝えします。26日のテーマは「働きがいも経済成長も」です。今、注目の栽培方法で農業の“未来”に挑むリンゴ農園を取材しました。

 リンゴの生産量日本一の青森県。

稲葉千秋アナウンサー
「広大な園地が広がっています。ここでは、日本の新しい農業のカタチに挑戦しているんです」

 こちらの園地で行われているのが「高密植栽培」です。

 通常の栽培方法は木の間隔を取り、1本の木を大きく育てます。

 一方、高密植栽培とは、一本一本の間隔を狭めることで本数を増やし、収穫量アップにつながります。

 面積当たりの木の数は通常の10倍以上。

 整然と並んでいることで剪定(せんてい)作業が簡単になり、収穫までの時間も半分になります。

 こうした栽培手法はマニュアル化できるため、労働負担が減り、生産コストが下がるといいます。

 日本ではここ数十年にわたり、農家の高齢化や担い手不足により収穫されるリンゴの栽培面積は減少傾向にあり、収穫量の維持、農家の所得の確保など課題は多岐に渡っています。

 そんな状況を打開しようと動いた企業(日本農業はファーマインドとともにジャパンアップルを設立し、高密植栽培園地を運営しています)。担当者は「高密植栽培」こそが打開策の1つになると期待を寄せています。

株式会社日本農業 河合秋人取締役COO
「(農家の)平均年齢が65歳から68歳くらいで、年率1%の割合で耕作放棄地が増えている。若い農家の方が園地を広げて、生産能力を産地として維持することが重要」

 通常の30倍くらいの量の苗を植えるため、初期投資が掛かりますが、そのリスクを取っても未来のために農業の形を変えていこうとしています。

 日本のこれまでの技術をもとに収穫量を大きく増やし、さらに“輸出ルートを広げること”で海外市場でも戦っていけるようなリンゴ作りに挑戦しています。

 こうした挑戦を続ける河合さんは「生産コストを下げることで農家の収益を上げる、それが担い手不足の解消につながる」とも話していました。

 こちらの企業では、サツマイモやブドウ等でも収穫量を増やす栽培方法を取り入れています。リンゴ園地も今後、さらに拡大する予定だということです。

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