実は減税しきれない分“給付”…対象は約2300万人 申請必要 来月から『定額減税』[2024/05/28 23:30]

6月から実施される『定額減税』。いま、準備に追われているのが全国の市町村です。

松戸市市民税課・大川課長:「これは今回の定額減税を計算するシステム。例年にない新たな作業になる。内容は、1月下旬ごろに(国から)通知があったので、(システム)改修する期間を考えると、時間的には余裕のない期間だった。また、定額減税しきれない額=調整給付する額も表示される」

今回、自治体が担当するのが“調整給付”と呼ばれるものです。“減税”なのに、どうして“給付”が必要になるのでしょうか。

定額減税額は1人当たり(住民税1万円、所得税3万円)合わせて4万円。妻と子ども2人を扶養する4人家族では、減税される額は16万円になります。しかし、実際に納めている税金が16万円よりも少なくて、減税しきれない場合は、残った分が自治体から「給付」される仕組みです。
松戸市市民税課・大川課長「(給付)対象者を抽出して、申請をしていただくよう通知する。(Q.通知も自治体がやる)そうですね。(Q.結構、やっかいというか)通知の事務的な作業は、また新たに別の作業なので増えると思う」

政府の試算では、給付されるのは、定額減税の対象者約6000万人のうち、約2300万人にも上るといいます。

自治体が対象の人に通知書を送り、振込口座などの返信や登録をしなければ、給付を受け取ることができません。

松戸市では、税を担当するのは『市民税課』ですが、給付を担当するのは『福祉政策課』です。通知に向けた作業に追われていました。
松戸市福祉政策課・職員:「申請書をお送りして、口座振り込みが基本になるので、口座をお知らせいただく返信をいただいて、その返信された口座を元に書類の審査などをしたのちに振り込みをする流れになる」

気になるのは、自分が給付の対象になるのかです。
政府のモデルケースでは、単身世帯で収入が210万円程度、夫婦と子ども2人では535万円程度、年金生活の高齢夫婦では355万円程度の人たちです。こうした人たちは、給付の手続きが必要になります。

さらに、制度の問題を指摘する声もあります。1人4万円の定額と言いながら、4万円以上を受け取る人も出てくるといいます。
立憲民主党・長妻昭政調会長(23日):「例えば、1円を(給付で)返す場合でも1万円になる。年間の支払い税が3万9999円の方がいたとすれば、1円は減税で引ききれないので1円を給付で返す。ただ、これは繰り上がりになるので1万円を給付する。これによって、本来、給付するルール以上に給付してしまう」

1人当たりの減税額は4万円です。例えば、2万9000円を納税して、1万1000円が減税額を使いきらなかった人の場合、そのまま給付されるのではなく、1万円単位で切り上げて2万円が給付されます。つまり、減税額を使い切った人より、給付を受け取る人の方が切り上げになった分だけ減税額が多くなるのです。

なぜ、このような制度になったのでしょうか。
新藤経済再生担当大臣:「まず自治体の事務負担の軽減、それから(納税者に)わかりやすいという意味において、給付額は1万円単位にした。できるだけ『簡単に』『適切に』『迅速に』、私のコンセプトとして打ち上げた」

しかし、自治体からは厳しい声が上がっています。
自治体の課税担当者:「税として、まったく公正でも公平でもない制度。年末に納税額が確定したら、減税が足りない人や、逆に給付を払いすぎた人が出てくる」

定額減税に伴う給付には、事務経費として、約700億円の税金が投じられる見通しです。

◆改めて、定額減税の仕組みを見ていきます。

1人当たり年間で、所得税は3万円、住民税は1万円の計4万円が減税されます。減税額は、納税者本人と扶養家族の人数に応じて決まり、4人家族の場合、減税額は16万円となります。ただ、例えば、所得税・住民税、合わせて年間12万円の納税額だった場合、減税分を引き切れないので、その分は“給付”となります。

あくまでも自治体や世帯の人数などで違いがありますが、内閣官房によりますと、目安として、単身世帯の場合は、年間の給与収入が210万円程度、4人家族の場合は、世帯収入が535万円程度など、給付の対象は、全国で約2300万人が見込まれています。

さらに、その給付額については、別の問題もあります。給付額は、1万円単位で“切り上げて”算出します。
例えば、減税しきれなかった分が、1万1円の場合、給付額は2万円となります。

なぜ、1万円単位での切り上げなのでしょうか。
内閣官房の担当者に聞くと、「所得税は12月に確定するため、今回の減税額は、去年の収入を基に計算。そのため、実際の納税額とは必然的にズレが生じる。“わかりやすさ”を重視して、1万円単位にした」としています。

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