風量を強に…自宅でできるエアコン節電術 “節電の夏” 補助終了で値上がり[2024/05/30 23:30]

夏本番を前に、30日、電気料金の値上がりが発表されました。

兵庫県西宮市にあるアイススケートリンク。ひとときの涼を求めて、訪れる人も多いようです。
利用者:「外は暑いですけど、中は涼しくて最高」

館内の温度を一定に保つため、夏は、最も電気代のかさむ季節です。その心臓部を見せてもらいました。冷やした二酸化炭素を使って、氷を中から冷やす装置です。
ひょうご西宮アイスアリーナ・西口智寛支配人:「圧力と温度が日常ではない数字なので、かなり電力を要する。真夏だと電気料金で200万円ぐらい」

今回の値上がりに対応できなければ、最終手段として、利用料金の値上げも視野に入れています。

静岡県河津町にある爬虫類などを飼育している施設。温度管理は、命に係わる問題です。
iZoo飼育主任・渡部那智さん:「昼間は冷房で調節はしている。それでも人間が入ると、じめっと暑く感じる。人間はつらくなる環境だが、この子たちにとっては快適」

月の電気代は500万円ほどかかるそうです。
iZoo飼育主任・渡部那智さん:「10%上がるだけで50万円上がる。入場料の値上げをしたばかり。そこにまた値上げは厳しい」

これまで物価高騰対策として行われていた政府の補助金が6月使用分から廃止されるため、家庭向けの電気料金も、大幅に値上がりします。九州電力や関西電力は、前の年と比べ40%を超える上昇です。

今年の夏も厳しい暑さが予想されるなか、どうやって乗り切ればいいのでしょうか。

4人の家族の成田さん。夏はリビングのクーラーをつけっぱなしにしているそうです。
成田美晴さん:「(Q.補助金がなくなるのは)痛いですね。(Q.どこを削りますか)どこを削りますかね。食費ですかね。でも食費っていっても、いま、ちょっと買うだけで、すぐに金額いっちゃうので難しい」

今回、東京電力管内の標準的な家庭では、前の月から392円値上がりして、8930円に。ウクライナ侵攻による燃料価格の高騰で9000円を突破した過去最高水準に近づきました。補助金の打ち切りなどによって、年間3万円ほどの負担増となります。

30日は、近くに住む成田さんの母親が遊びに来ていました。
渡辺由美さん:「電気代が高いから、うち。ご飯食べるときも前は2部屋、電気つけていたけど、いまは片方しかつけていなくて、本当に暗い。でも仕方ない」

横浜市にある高齢者施設。部屋から入居者がいなくなると、エアコンが消えました。これは節電のため、去年秋から導入した取り組みで、無駄なエアコンは自動的に消えるよう、施設側で一括管理していました。
ハートフルガーデン川和・荒井紗綾花施設長:「利用者の方は、電気とかテレビは消して食事に行くが、エアコンとか空調を消し忘れる方多い。体温調整が難しい高齢の方も多いので、その辺も職員が気をつけながら調整している」

電灯もLEDに付け変えて、窓には断熱フィルム。ありとあらゆる対策で、月に8万円ほどの節電に成功しました。

去年7月の請求額は100万円超え。この夏、どうなるのか。
ハートフルガーデン川和・荒井紗綾花施設長:「7月・8月が値上がりすると思うと、運営的に不安が強い。空調を消すということは、利用者が熱中症や脱水の危険が高いので、絶対にできない。それ以外で節約していくしかない」


◆6月使用分から政府の補助金がなくなるため、家庭向けの電気料金は、全国の大手電力10社すべてで値上がりします。補助金終了の理由について、林官房長官は「(火力発電の燃料となる)LNG=液化天然ガスや、石炭の輸入価格が、ロシアのウクライナ侵略前と同程度に低下した状況などを踏まえた」としています。

30日、各電力会社が発表した電気料金ですが、平均的な家庭の場合、前の月と比べて全国的に350円〜600円ほど値上がりします。

自宅でもできるエアコンの節電術について、空調メーカーのダイキン工業に聞きました。
【換気】
帰宅後、エアコンを付ける前に、5分ほど窓を開けて換気すること。熱気がたまったままだと、冷やすために消費電力が増えます。

【風向】
風向を水平にして、部屋の温度ムラを抑えること。冷たい空気は下に溜まりやすいため、部屋の下が冷たく、上が暖かい温度のムラがあるとエアコンが「設定温度になっていない」と勘違いして、必要以上に部屋を冷やし、消費電力が増えてしまいます。

【風量】
部屋が暑いと感じたときは設定温度を1度下げるよりも、設定温度は変えず風量を強にすること。風量を強くすれば、体感温度が下がるので、同じ温度でも涼しく感じるそうです。

ダイキンの実験によりますと、設定温度を1度下げるより、風量を強にした方が、電気代が抑えられるとのことです。
例えば、日中、午後1時〜3時までの2時間、エアコンを使用した場合、設定温度を1度下げると35円、設定温度は変えず、風量を強にすると16円となります。同じ条件で1カ月間続けた場合、電気代は、1050円と480円になります。このように、設定温度は変えずに風量を強にした方が電気代は約半分に抑えられます。エアコンは、温度を下げるときに消費電力が増えるので、設定温度を低くすると電気代もかかるというワケです。

ダイキンの担当者は「節電のために無理にエアコンの使用を控えると、熱中症を引き起こすリスクも考えられる。適切にエアコンを活用してほしい」と注意を呼び掛けています。

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