経済

サタデーステーション

2025年9月20日 22:30

なぜ?富良野で地価急騰 背景に外国人マネーも「1億円は低価格」

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あの名作ドラマの舞台としても有名な、北海道・富良野。今週発表された全国の住宅地の地価で、上昇率トップだったのが、その富良野市でした。“北の国”で一体、何が起きているのか、現地を取材しました。(9月20日OA「サタデーステーション」)

■上昇率は全国トップ

報告・高橋和ディレクター(19日 北海道・富良野市)
「富良野市の観光地付近では、来年オープンするコンドミニアムの建設が行われています」

来年の12月に開業予定で進められているこちらの工事現場。建設されるのは、20戸を備えた分譲型リゾートホテル。価格は、最も高くて約5億7700万円。すでに100件以上の問い合わせが来ているそうです。

こうした投資がいま相次いでいるのが、北海道の真ん中に位置する富良野市。人口約1万9000人の街です。自然だけでなく、おしゃれなマルシェや商業施設も各所にあり、外国人観光客に人気となっています。

マレーシア人観光客
「天候が涼しくて、心地良いんです。青い空と風も好き」
「自然、農場、果物がすばらしい。次に来た時は家を買ってしまうかも」

不動産を買いたいという外国人の声も。16日、国交省が発表した住宅地の基準地価のうち、富良野市北の峰町は上昇率が最も高く、27.1%値上がりしたことがわかりました。

北の峰連合町内会長(19日 北海道・富良野市)
「まっすぐ行ったところには今計画中ですけどホテルが建つ予定」

北の峰の町内会長は、土地の高騰をひしひしと感じていました。

北の峰連合町内会長(19日北海道・富良野市)
「聞く話では『ここの家はい、5000万ですよ、はい、6000万ですよ』という感じで不動産屋さんも来てるようですよ」

■“第2のニセコ” 外国人から熱視線

人口減少の一途を辿るこの街でいま、何が起きているのでしょうか。サタデーステーションは20日、まさに不動産を購入しにやってきた外国人投資家を取材することができました。

シンガポール人投資家
「確かに景色はすごく良いですね」

築38年4LLDDKKの木造住宅。らせん階段を上った先にある景色がウリだと言いますが、そのお値段6800万円。

日本信達株式会社石井秀幸社長
「周囲は牛の牧場だから建物が周りに建たない。だから景色が全部取れる」

シンガポール人投資家
「ベリーグッド!!」

他にも、畳の部屋に、キッチンは1階と2階に2つ。お風呂も2つ。不動産会社の石井社長が案内するのは、シンガポール人の投資家です。

シンガポール人投資家
「富良野は天候が良く季節もとても素敵です。春はラベンダーが見られるし、冬はスキーができる。不動産価格も今は投資のチャンスなんです。ニセコは上がりすぎていますからね」

市街地からすぐの場所にあるスキー場では世界有数のパウダースノーが楽しめ、富良野は「第2のニセコ」とも言われています。そのニセコと比べリーズナブルだと言い、別荘地を探していました。この日、3つの物件を内見すると言います。こちらは、築31年の4LDK。土地面積は500平方メートル以上。お値段は、5500万円。

シンガポール人投資家
「大きい!とても広いですね。リノベーションしたのですね」

日本信達株式会社石井秀幸社長
「ここ民泊の許可も取れている」

シンガポール人投資家
「オッケー!買う買う買う」

休暇中は自分で使い、さらに民泊としても貸し出したいのだとか。こちらの民泊許可の取れている家具付き物件も内見。築39年4LLDDKK5300万円です。そして、内見が終わると大きな決断をしました。

シンガポール人投資家
「ここに住所を書くのですね。シンガポールの住所でいいのかしら?」

購入した、その金額は…なんと、1億円。二つの物件をお買い上げしました。

シンガポール人投資家
「値段はとってもリーズナブルです。1億円、低価格です」

日本信達株式会社石井秀幸社長
「海外のお客さんが圧倒的にここ3年言っているのは『私たちの国は夏はもう暑くて住めません』って言ってるんですよ。じゃあアジアの人たちの一番近い避暑地はどこだ?って。このグローバルなマーケットで見た時に北海道しかないと言ってる」

ただ、富良野人気は外国人の間だけではないそうです。

日本信達株式会社石井秀幸社長
「日本国内の民泊業・大家さんたちが昨年から一気に増えました」

■住民からは困惑の声も

変わりゆく街。市外からの熱視線に地元の人たちは戸惑いを見せます。富良野の中心地にある、ジンギスカンのお店。

ジンギスカン盆賊衆 谷明郭代表
「ひどい時では1日に100件ぐらいの電話が入りますけど、おおむね『ごめんなさい』というお答えしかしません」

街にあるお店に対して観光客が多すぎるのだそうです。富良野離れにならないか、懸念も。

ジンギスカン盆賊衆 谷明郭代表
「海外の方がいなくなると富良野は多分やっていけないのではないかと思います」

町内会長も街の未来を憂いていました。北の峰町の第三町内会では、5年ほど前まで130戸あった住宅は、80戸に減ったそうです。

北の峰連合町内会長
「外国人資本も買わない状況が生まれてきたら、高齢化に伴って土地と建物がそのまま残って廃墟になると、そういうことが心配」

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