政府が経済対策として自治体に活用を勧める「おこめ券」。しかし今、配布しないことを決める自治体が増えている。一体どんな理由があるのか。
■おこめ券を配布しない理由は?
大阪・交野市 山本景市長
「おこめ券という選択肢は市民のためにあってはならない選択肢」
コメの平均価格が5キロあたり4335円と過去最高値を記録する中、需要が高まるはずのおこめ券。しかし、選ばないという自治体が続出している。
静岡市 難波喬司市長
「選択肢の一つならば静岡市としてはやるつもりはない」
4日も静岡市が否定的な考えを示している。
物価高への対応として拡充する重点支援地方交付金は、おこめ券に限らずプレミアム商品券や電子クーポンの配布、食料品の現物支給など自治体の判断に委ねられている。
そうした中、番組ではおこめ券の配布をしないと表明している大阪府箕面市の原田亮市長を取材した。そして、その理由を聞いた。
「おこめ券は500円で440円分のおコメしか買えない。12%の手数料(60円)が引かれる。市民の皆さんに届くお金が目減りしてしまう。(手数料は)おこめ券の事業者に行くということなので、おこめ券の事業者がもうかってしまうような仕組みになっているということですから。それは市民のためにはならないというふうに思っています」
さらに、原田市長はおこめ券を市民に配布するコストもネックになっていると指摘した。
事前通知には1件110円のコストがかかり、およそ14万人が暮らす箕面市全体に通知すると多額の負担になってしまうという。
「市民の皆さんに1円でも多く届けられるかというところを重視しておりまして、今回おこめ券ではなくて現金やギフト券のほうが、手数料とか事務費もおこめ券に比べてかからないということなので、その線で検討しています」
箕面市民の反応は…。
「(おこめ券を)配布してほしいんやけどね。年金生活やからさ」
「(おこめ券だと)おコメだけになってしまうでしょ」
「幅広く買えるような」
「地域振興券のようなものがいい」
■おこめ券に使用期限 転売も禁止
おこめ券を巡っては使用期限など新たな情報も出てきている。
おコメの卸売業者が組織する団体、全米販やJA全農が現在、発行しているおこめ券には使用期限はないが、農林水産省は5日、おこめ券の使用期限を来年9月末までとすることで調整していると発表した。さらに、おこめ券には転売禁止を明記する方向だという。
これについて、コメの流通に詳しい折笠俊輔氏は、新たな文言を券に盛り込むとなると新しく作り直すため手元に届くまでに時間がかかる。さらに、他の商品券などに比べて手数料が取られ、購入できる額が12%減ってしまうので、おこめ券の給付を選ぶ自治体は少ないと思うと指摘する。
自治体はどんな判断を下すのか。番組では東京23区にアンケートを実施した。
おこめ券の配布について「検討中」と回答したのが21、「配布しない」が1、「未回答」が1となり、現時点で配布すると回答した区はなかった。
また、検討中と回答した複数の区の住人からは、おこめ券以外の選択肢を望む声も上がっているという。
唯一、配布しないと回答した江戸川区は別の施策の実施を計画しているためとしています。
(「ワイド!スクランブル サタデー」2025年12月6日放送分より)
経済対策「おこめ券」 配布しない自治体も 手数料は事業者に 配布コストもネック
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