街のギモンを徹底解説!日銀マイナス金利解除で影響は?住宅ローンどうなる?懸念の声
モーニングショー
[2024/03/28 13:00]
3月19日、日本銀行はマイナス金利の解除を決めました。2007年以来、17年ぶりに利上げします。
■日銀マイナス金利解除で利上げ なぜ?
マイナス金利が導入されている時は、民間の銀行が日本銀行にお金を預けると、マイナス0.1%の金利がかかり、お金が減ります。
なぜ、こんなことをするのでしょうか?
民間銀行が、日本銀行にお金を預けるだけでお金が減ってしまうようにすることで、日本銀行に預けるのではなく、民間人や企業への貸し出しを増やすよう促して、景気向上を狙う政策です。
これが今回解除されて、金利が0%〜0.1%になります。
すると、民間銀行が日銀にお金を預けてもお金が減らなくなります。日銀は、物価と賃金が上昇する景気の好循環が見通せると判断して、解除を決定しました。
このマイナス金利解除を受けて、民間銀行の金利も上がります。
三菱UFJ銀行は、普通預金の金利を3月21日から、現在の20倍の0.02%に引き上げます。三井住友銀行も、普通預金の金利を4月1日から、現在の20倍の0.02%に引き上げます。そして、みずほ銀行も、普通預金の金利を引き上げる予定です。
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■住宅ローンどうなる?懸念の声続出■住宅ローンどうなる?懸念の声続出
マイナス金利解除をうけて、住宅ローンはどうなるのでしょうか。心配する声です。
「35年ローンで、今3年目だから困る。物価が上がっても給料は上がらないから、マイナス金利のままでいい」
「住宅ローン金利が心配。変動金利で借りているが、これからは固定金利の方が良くなるかも」
住宅ローンの金利は、固定金利と変動金利があります。
「固定金利」は返済終了まで金利が変わりません。35年ローンの3月の固定金利は、約1.84%です。「変動金利」は市場の金利次第で変わります。現状は固定金利より金利が低く、3月の変動金利は、約0.37%です。
住宅ローンの利用者は今、「変動型を選んでいる人」が74.5%、「変動型と固定型を組み合わせている人」が18.3%、「全期間固定型を選んでいる人」は7.2%です。
変動金利が上がると、返済はどうなるのでしょうか。
4000万円を35年返済のローンの場合、金利が現在の0.4%から0.1%上がり、0.5%になると、月々の支払い額が1709円増え、総支払い額が69万7205円増えます。
金利が0.4%から0.5%上がり、0.9%になると、月々の支払い額が8727円増え、総支払い額は356万655円増える試算です。
では、住宅ローンの金利はいつ、どれくらい上がる可能性があるのでしょうか。
ニッセイ基礎研究所の福本さんによると、「来月(4月)からローンを組む人に対しては、適用金利が約0.1%弱上がる可能性がある。今借りている人にも影響が出るのは1〜2年以内。引き続き物価が高い状態が続いた場合、さらに金利が約0.5%上がるかもしれない。日本の場合は、住宅ローンが先に上がり、後から賃金が上がることもありうるため、前もって貯金しておくことが重要」ということです。
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■生活どう変わる?街のギモン■生活どう変わる?街のギモン
そこで、街の皆さんの疑問です。
経済ジャーナリストの後藤さんです。
「これからローンを組む場合は、固定金利をある程度入れるなどしたほうがいい。変動5割、固定5割が目安」
後藤さんです。
「都心の高額物件は、値上がりし続ける可能性が高いが、一般的な物件は次第に頭打ちになる可能性も」
後藤さんです。
「少し金利が上がったくらいでは、家賃に影響はない」
住宅以外のマイナス金利解除の影響です。
後藤さんです。
「日米の金利差は大きく、円安トレンドは長い目で続きやすい。海外現地でのインフレもあり、海外旅行は今後も行きにくい。輸入品の値段も下がりにくい」
後藤さんです。
「日銀の政策自体で株価が急落するリスクは低い。アメリカの景気やアメリカ大統領選など、海外要因の方が影響は大きい」
後藤さんです。
「当面は、預金の金利は大きく変わらない」
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■賃上げの春 33年ぶり高水準も…中小企業と格差■賃上げの春 33年ぶり高水準も…中小企業と格差
マイナス金利解除の判断理由の1つとなった、春闘の賃上げについてです。
労働組合の中央組織である『連合』は、春闘の賃上げ率を5.28%、月額で見ると平均1万6469円の賃上げという中間集計を発表しました。賃上げ率が5%を超えるのは33年ぶりの高水準です。
連合は、今回の春闘で「5%以上」の賃上げを目標に掲げていましたが、大手企業を中心に満額回答が相次いだことで目標を上回りました。
ただ、実質賃金はマイナスです。
労働者1人当たりの平均賃金を示す、『現金給与総額』は25カ月連続でプラスなのに対し、物価の変動分を反映した『実質賃金』は22カ月連続でマイナスです。
原因は、賃金の上昇が物価の上昇に追い付いていないからです。
しかし、高水準の賃上げが実現した場合、秋ぐらいには実質賃金がプラスに転じる可能性があるということです。
一方で課題もあります。
大手企業は5.30%の賃上げに対し、中小企業は4.42%で、0.88ポイントの差があります。2023年の集計では、0.36ポイント差でしたので、大企業と中小企業の格差は広がっています。
なぜ、中小企業で賃上げが難しいのでしょうか。
都内の金属加工会社社長によると、「人材のつなぎ止めや従業員の生活の質維持のため、賃上げを行うが、やむなくといった感じ。賃上げをするにしても、元になるものがないと成り立たないため、原資をどうするかが一番頭が痛い」ということです。
実際に、中小企業の賃上げに関する調査を見てみると、「賃上げの予定がない」と答えた中小企業は約3割でした。その理由として一番多かったのが、「賃上げの原資がない」というもので約7割を占めています。
(「羽鳥慎一 モーニングショー」2024年3月20日放送分より)