コメの価格高騰が続く中、政府は備蓄米21万トンを放出する方針を正式に発表しました。『コメの価格高騰』について、皆さんから多くのご意見やご質問を頂きました。備蓄米放出でコメの価格などは、どうなるのでしょうか?
■備蓄米 過去最大の21万トン放出へ 店頭には3月下旬以降か
備蓄米の放出です。
農水省が、2月14日、備蓄米21万トンの放出を発表しました。
備蓄米は、10年に1度の不作や地震などの緊急時への備えです。流通の円滑化が目的の放出は、今回が初めてです。
まずは、15万トンを放出します。
2024年産が10万トン、2023年産の古米が5万トンです。
その後の放出は、米の流通状況をみて、判断するということです。
放出の狙いです。
2024年のコメの生産量は679万トンで、前の年より約18万トン増えていました。
しかし、JAなどの集荷業者が2024年末に確保できた量は、前の年よりも約21万トン減ったため、今回の放出でその分を穴埋めします。
今回の備蓄米の放出は過去最大です。
これまで、東日本大震災の時に4万トン、熊本地震の時に90トンでした。
「インパクトがない数字を出しても仕方がない」としています。
放出された備蓄米はいつ手に入るのでしょうか。
2月17日、18日と、集荷業者向けの説明会が開かれます。
3月上旬に入札公告を実施して、3月中旬に落札者に引き渡しを開始します。
3月下旬以降には、小売店などで販売されるのではないか、ということです。
「この半年あまりの期間に、なんでもっと早く決断できなかったのかという批判は、甘んじて受け止める」
「市場が正常化すること、流通が正常化することを願っている」としています。
■備蓄米放出で価格は下がる?買い占めは?疑問あれこれ
2月12日に、コメの価格高騰について取り上げた時に、約3000件のご意見やご質問を頂きました。
もっとも関心が高かったのは、コメの価格についてです。
東京のコシヒカリの小売価格です。
2024年1月は、5キロ2440円でしたが、2025年1月は、4185円。
1年前と比べて、約1.7倍になっています。
皆さんの疑問です。
コメの価格は下がるのでしょうか。
「(備蓄米放出は、業者や農家が)売り渋るメリットがなくなる仕組みで、価格は下がるのではないか」ということです。
江藤農水大臣は、21万トンの放出で流通状況が改善しない場合、さらに追加を検討するとしています。
「あまり変わらないのではないか。備蓄米は入札によって売り渡されるので、今より安い値段で落札されるとは考えにくい」と話しています。
「劇的に下がることは考えにくい。当面は少し下がるかもしれないが、中期的な効果は限定的」としています。
視聴者の皆さんの疑問2つ目です。
今回の放出について、集荷業者に条件がつけられています。
▽仕入れ量が年間5000トン以上
▽卸などへの販売計画や契約があること
このいずれの条件も満たす必要があります。
この条件を満たす業者は、JA全農など89の集荷業者に限られてくるということです。
さらに集荷業者は、備蓄米をいくらでどれぐらい販売したかを2週間に一度、農水省に報告する必要があります。
■店舗で備蓄米を見分ける方法ある?品質は?
視聴者の皆さんの疑問、備蓄米についてです。
「備蓄米だという表記はない。コメの袋にある商品説明の部分に『〇〇年産』と書いてあるので、そこを見て判断を」ということです。
そして味です。
江藤農水大臣ら農水省幹部が、2024年産の米と2023年産の古米を、わざと冷ましておにぎりにして試食しました。
「どれが2024年産米で、どれが2023年産米なのか、誰も区別がつかなかった。食味的にも香り的にも十分な品質を保っており、自信を持ってお出しできる」としています。
備蓄米の倉庫は、温度や湿度が一定に調整されていて、国は管理のために年500億円を費やしています。
「(備蓄米の)品質に問題はない。食べても古米だと気が付かないぐらいではないか」ということです。
■『消えた21万トンのコメ』買い占め?足りない?真相は
2月なのに、もうコメがない、という声が出ています。
栃木県茂木町の直売所では、2月13日に、コシヒカリが玄米で1袋、白米は『とちぎの星』という地元のブランド米が3袋のみという状態でした。
仕入れも激減です。
この直売所では、2024年9月、週20袋コメを仕入れましたが、今月は週2袋です。
「今まではそんなことなかった。生産者の皆さんも『ない』と言う」と話しています。
消えたコメについて、政府の説明です。
「コメの取引に全く参入していなかったような方が、多数参入していることもだいたい分かった」と話しています。
関係ない業者もコメを買い入れているようです。
「農家さんに直接聞いた話だが、鉄くずを扱う会社やIT系をやっていたという一部転売屋みたいな人が農家に直接買い入れをしている現状がある」
コメの民間在庫量です。
赤が2024年、青が2023年です。
コメの不作によって、2024年のコメの民間在庫量が2023年と比べて不足しています。
2024年8月に、いわゆる『令和の米騒動』が起きましたが、新米が出回った10月以降も、40万トン以上前の年より少なくなっています。
キヤノングローバル戦略研究所の研究主幹、山下さんは、「消えたコメは、実は39万トン」と指摘しています。
2023年のコメの生産量は661万トン、そのうち集荷されたコメは236万トンです。
2024年に生産されたコメは679万トンで、2023年と比べて、約18万トン増加しています。
集荷されたのは215万トンで、2023年と比べて、およそ21万トン減少しています。
合わせて約39万トンのコメが、2023年と比べて「消えている」との指摘です。
「生産量が18万トン増えているのに集荷量が21万トン減っているということは、単純計算で39万トン不足しているはず。2024年9月以降40万トン以上民間在庫は不足していた。21万トンは業者のところにあるという政府の説明には疑問」
新米は8月から9月にかけて収穫され、10月から店頭に並び始めます。
翌年の7月(次の新米の収穫時期)まで、各月に同じ量が販売されます。
ところが、2024年は8月、9月にはコメが不足していました。
「2024年7月時点で、8月9月の端境期を賄えないぐらい、コメが不足していた。8月〜9月は新米を先食いしている状態だった」
(「羽鳥慎一モーニングショー」2025年2月17日放送分より)