経済

グッド!モーニング

2025年2月24日 13:03

現金レス化で減る1円玉 昨年の製造わずか51万枚 欧州では少額硬貨廃止した国も

2025年2月24日 13:03

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 最近、1円硬貨を使いましたか。キャッシュレス化が進み、出番が少なくなったことで、SNSでは廃止論が出るほどになっています。 日本円の最小単位である1円硬貨は必要なのか、不要なのか。現状を取材しました。

■“1円玉廃止論”SNSで話題に

 アメリカのトランプ大統領は10日、自身のSNSに「1セント硬貨の鋳造停止を財務長官に指示しました」と投稿しました。

 またトランプ大統領は「1セント硬貨にかかるコストが2セントを超える」として、作ることをやめるよう指示しました。

 日本のSNSでも「お札は落ちてても拾うけど、1円が落ちてて拾わない」「キャッシュレスが普及してるし、廃止でいいと思う」といった声が上がり、1円玉廃止論が話題になりました。

年銘別貨幣製造枚数から
年銘別貨幣製造枚数から

 実は、一般流通用の1円玉は2016年以降、製造が停止されています。

 造幣局によると、製造枚数が最も多かったのは消費税が導入された翌年の1990年で、およそ27億7000万枚。現在作られている1円玉は主にコレクター用で、去年の製造枚数はわずか51万枚です。

 世界的にキャッシュレス化が進むなか、少額硬貨廃止の議論は各国で行われているようです。

東洋大学 川野祐司教授 
「ヨーロッパは10カ国ぐらいは、もう小さいコイン廃止しています」

■鋳物の町…最大の課題は材料費の高騰

砂型
砂型

 1円玉の素材は純アルミニウムです。そもそもアルミニウム製品はどのように作られているのでしょうか。

 江戸時代から鋳物の町として栄えた埼玉県川口市で、アルミニウム製品を作る小泉アルミでは、伝統的な砂型という製法を用いています。

内田英嗣代表 
「型が上と下に分かれている。そこに砂を入れて、固めて、この型を取り出す」

 できた砂型に、2時間以上火にかけた750℃のアルミを流し込みます。

温度調整
温度調整

 鉄よりも柔らかく、扱いが難しいというアルミニウム。不純物の除去や、季節に合わせた温度調整など、繊細な素材であるため、技術の継承も難しいといいます。

 しかし、ここ数年で特に頭を悩ませているのは材料費です。

内田代表 
「これが倍くらいになってしまっている。大変ですね。材料は本当に頭が痛い」

 工場で1円玉を作ったら、いくらくらいかかるのでしょうか。

内田代表 
「もし、これうちの砂型で作ったら、もう1円どころではない」
ラウンディング
ラウンディング

一般的に「1円玉を作るには3円かかる」と言われています。もし1円玉が廃止された場合、普段の買い物はどうなるのでしょうか。

川野教授 
「一番小さい単位を5円玉にして末尾を0・5・0・5に計算。ラウンディングといいます」

 ラウンディングとは、二捨三入の考え方です。例えば、98円から102円までは100円、103円から107円までは105円、108円から112円までは110円となります。長期的に見ると、ほとんど損得はないといいます。

■1円玉の価値を訴える店も

困る店も…
困る店も…

 一方、1円玉が廃止されたら困るという店もあります。

ABS卸売センター 唐鎌孝行社長 
「できればなくならない方がいいです。50銭1円が勝負でやっている」

 格安スーパーのABS卸売センターでは、支払いは現金のみで、一円単位で価格設定をしています。

唐鎌社長 
「(値段を)切り上げてしまうわけにはいかないので、うちが値段を下げて5円(単位)になるように。全部利益から削られることになってしまうので、かなり痛い」

 唐鎌社長は1円玉の価値について、「1円が勝負ですから。『1円を笑うものは1円に泣く』」と力を込めます。

(「グッド!モーニング」2025年2月24日放送分より)

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