高齢者を対象としたプラチナNISAの検討が始まりました。毎月分配型のプラチナNISAとはどういうものなのでしょうか。そして、トランプ関税による株価の乱高下の中で、新NISAの利用者の声についても見ていきます。
■トランプ関税で新NISA利用者悲鳴も 株乱高下のいますべきこと
トランプ関税による株価の乱高下の中で、新NISAの利用者の状況です。
20代 ジムトレーナーの女性です。
●2024年の春、新NISAを開始
●成長投資枠月20万円、つみたて投資枠月10万円を積み立て投資しています。
「将来への貯蓄やお金を使い過ぎないため、また年金がもらえるかわからないから、未来の自分のために、お守り代わりに投資を始めた。そのせいで生活はカツカツ」と話しています。
そして、株価の下落で、評価額が、約530万円あったのが90万円マイナスで、現在約440万円になっているということです。
「10年ぐらい経ったら、元に戻るかなと(いう)気持ちで、あまり一喜一憂しないようにしている」と話しています。
40代 公務員の男性です。
●2024年の春、新NISAを開始。
●成長投資枠で240万円を一括で投資しました。
「トランプ関税のせいで、もうメタメタ。(NISAとそれ以外で)大体500万円が300万円くらいになったんじゃないか。ガッカリはしているが、しょうがない」と話しています。
50代 会社員の女性です。
●8年前にNISAを開始。
●成長投資枠で200万円を一括で投資し、月々10万円を積み立て投資しています。
最近の株価の下落で、評価額が約385万円あったのが、65万円マイナスで、現在約320万円になっているということです。
「現状見るとギャー!って思うが、長期なので、めげずに頑張って続けたい」と話しています。
日本とアメリカの株価の推移です。
トランプ政権は、3月26日、アメリカに輸入される自動車に追加関税を課すと発表すると少し下がりました。
4月2日に、相互関税の詳細を発表すると大きく下がり、4月9日に、相互関税の一時停止を発表すると上がるなど、乱高下しています。
今の状況で、どうすることができるのでしょうか。
株価が乱高下している今だから、
「基準価額(一口の価格)が下がっているので、一般的には、たくさん買える(買い増せる)チャンスでもある」ということです。
例えば、これまで1口1000円だったものが、500円になっていれば、同じ1000円で2倍買えます。
「投資先の内訳を見直して、リスク分散をした方がいい」ということです。
■高齢者向けNISA創設検討へ 新NISAの違いは?デメリットも
高齢者向けの『プラチナNISA』の検討が開始されています。
4月16日、岸田前総理が率いる議員連盟は、65歳以上の高齢者を対象にした『プラチナNISA』の創設を提言する考えを示しました。
金融庁は、この提言を受けて検討を進める方針です。
この『プラチナNISA』は、少額から行える投資で、元本を元手に得た運用益、つまり利益の一部を、毎月『分配金』として利用者に払い戻す『毎月分配型』というシステムです。
プラチナNISAについて、街で聞きました。
「国民年金なので満額でも7万円程度。年金だけでは暮らせないから、毎月運用益が得られれば、何とかなるかもしれないと期待している」
「我々高齢者に、10年20年先の長期視点は必要ない。毎月配当が入るならば、年金で足らない家計の赤字補填ができるかも」
この『プラチナNISA』とこれまでの『新NISA』の運用の違いです。
運用状況が順調な場合という前提です。
●『新NISA』は、毎月元本を積み立てながら、出た運用益を再投資に回して、長期的に資産を増やします。
●『プラチナNISA』は、元本をもとに得た運用益をすべて再投資に回さず、一部を毎月分配金として、手にできる仕組みです。
菅井さんによると、例えば、月の配当実績が3%の場合、
●毎月1万円の分配金をもらうのに必要な元本は、『400万円』です。
●毎月3万円の分配金を受け取るには、必要な元本は、『1200万円』だということです。
毎月分配型の『プラチナNISA』についての街の声です。
「元本は保証されるのか?」
「必ず、利益がプラスになるのか?安定しているのか?」
「良い話ばかり並べているが、ちゃんとリスクも説明してほしい」
『プラチナNISA』についてのデメリットを見ていきます。
デメリットの1つ目は、『元本取り崩しの可能性』です。
株が大きく下落するなどし、運用益が出なかった場合は、元本を取り崩して分配金を捻出する可能性があります。
2つ目のデメリットは、『信託報酬や手数料が高い』ことです。
毎月の決算に伴うコストを反映しているため、毎月分配型は、信託報酬や手数料が比較的高くなります。
3つ目のデメリットは、『利益が利益を生む「複利効果」が少ない』という点です。
「『毎月分配型』は、運用益をすべて再投資に回すわけではないので、利益が利益を生む複利効果を得られにくく、長期投資のメリットが薄い」ということです。
一方で、新NISAではなく、すでにある『毎月分配型』には、こんな例もあります。
グローバル・ソブリン・オープンという金融商品です。
これは1997年に誕生した、毎月分配型投信の代名詞的な投資信託です。
1997年に1万円からスタートしたのが、1998年8月には1万1531円まで上がりました。
その後は、為替の影響や債券相場の下落や、分配金の払い戻しなどで、2025年3月には5204円と、約27年で半分近くになりました。
分配金は、最も高かった1998年9月〜2000年12月の1万口保有で60円でした。
2025年4月17日では、1万口保有で分配金は5円と、約27年で約10分の1です。
「為替リスクや債券変動リスクに加えて、分配金の取り崩しで、大きく基準価格が下がった」ということです。
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■プラチナNISA 狙いは「高齢者の現預金」■プラチナNISA 狙いは「高齢者の現預金」
「プラチナNISAの狙いそのものがわからない」
「高齢者が保有する資産の多くが、現預金として眠っている。『老後資産の不足は、国だけに頼らず、投資で稼ぎましょう』というのが狙い」
年代別の新NISAの口座数です。
2024年9月末時点で、全体で約2500万口座、60代以上が約800万口座です。
家計の金融資産は、2024年末時点で約2230兆円と過去最高です。
そのうちの6割以上を60代以上が保有し、2230兆円の3割が高齢者世帯の現金・預金ということです。
■新NISA加熱の中 証券口座乗っ取り急増 株を勝手に売買
証券口座の乗っ取り被害が増えています。
金融庁は、2025年に入り、証券会社の顧客が証券口座を乗っ取られ、株を勝手に売買される事案が発生していると発表しました。
被害の報告があったのは、
▼楽天証券 ▼野村証券▼SBI証券▼SMBC日興証券 ▼マネックス証券 ▼松井証券、の6社です。
不正取引件数は、2025年2月33件、3月685件、4月は16日までの半月で736件と、急増しています。
2カ月半で約22倍です。
不正に売却された金額は、約506億円。
不正に買い付けられた金額は、約448億円です。
多く確認された手口です。
証券会社の偽サイトに誘導する『フィッシング詐欺』などで、IDやパスワードを盗みます。
「あなたのアカウントに不正アクセスがありました。本人確認のため下記URLにログインしてください」などといったメッセージに、URLがついたメールが送られてくるということです。
そして、盗んだIDとパスワードで顧客になりすまし、口座を操作します。
▼顧客の株式や投資信託を勝手に売却し、
▼代わりに取引の少ない中国企業株や国内の小型株を大量購入します。
これで、価格をつり上げた上で、保有している株を売却し、利益を得ている可能性があるということです。
こうした口座の乗っ取りに、金融庁は対策を呼びかけています。
▼見覚えのある送信者からのメールでも、リンクを開かない、
▼複数の手段で本人確認する『多要素認証』を利用する、
などです。
(「羽鳥慎一モーニングショー」2025年4月22日放送分より)


















