2025年の新米の買い取り価格は、2024年より3割ほど高くなるとみられています。
さらに、2025年の夏は高温になると予測されていて、価格の高騰に追い打ちをかける可能性もあります。
■秋に収穫予定の新米 5kg 4000円超の可能性 その理由は?
2025年の秋の新米は、5kg4000円を超える可能性があります。
コメの概算金です。
概算金は、JAなどの集荷業者が、生産者から買い取る価格で、その年のコメの小売価格に影響します。
JA全農にいがたでは、買い取り価格(概算金)は、60kgあたり、2024年産は、2024年8月時点で、1万7000円でしたが、2025年産は、5月2日時点でプラス6000円で2万3000円です。
2025年産の買い取り価格が正式決定するのは、8月ごろなので、今後変化する可能性があります。
「資材などの価格が上がっているので、農家の方がそれに対応できるように、また、継続的に稲作を続けていけるような水準を目指して、値段を上げている」としています。
JA全農あきたでは、買い取り価格(概算金)は60kgあたり、2024年産は、1万8800円でしたが、2025年産は、5月2日時点でプラス5200円で2万4000円です。
こちらも、買い取り価格が正式決定するのは、8月ごろです。
「材料費やエネルギー費の高騰に対応し、農家の方が継続して経営していける価格と、消費者の方にも継続して選んでもらえる価格のバランスをとって試算した金額」としています。
「2025年産は、JA以外の民間業者の買い付け契約も2万5000円くらい。それに負けないように最低保証価格を設定している。2万5000円だと、小売価格は5kgで4000円を超え、今より下がらない可能性がある」ということです。
■2025年夏も猛暑予報 “暑さに強いコメ”品種転換 進まぬワケ
コメへの影響が大きい、2025年夏の気温です。
気象庁が発表しているこの先3カ月の予報では、5〜7月の気温は、全国的に平年より高い見通しです。
なぜ、暑いのでしょうか。
偏西風の蛇行です。
偏西風が平年より北寄りに蛇行するとみられていて、その影響で、太平洋高気圧が平年より日本付近へ張り出します。
偏西風の南側は暖かくなり、日本付近は暖かい空気に覆われやすくなります。
偏西風が蛇行するのは、温暖化が要因の1つです。
2023年・2024年は、統計史上最も暑い夏となりましたが、特に2023年は、高温により多くの地域でコメの品質が低下しました。
新潟県の2023年産コシヒカリで、最も品質が良い1等米の割合は4.3%でした。
2024年は、栽培の時期を少しずらしたり、農業用水をより有効に利用したことで、73.1%まで回復しました。
「猛暑は通常化してきている。今年も暑さで不作となったら、コメ価格高騰の圧力が増す」といいます。
暑さに強い品種もあります。
『高温耐性品種』と言われるもので、2024年産の1等米の割合です。
●新潟では『新之助』が97.9%、
●福島では『にじのきらめき』が94.7%、
どちらも、1等米の割合は、コシヒカリより高くなっています。
しかし、高温耐性品種の作付面積は、2024年時点で、全体の約16%です。
「今は、ブランド力がある『ひとめぼれ』や『コシヒカリ』などを作って販売している。高温耐性の品種は、それに比べてブランド力が落ちる懸念があるが、年々暑くなっていて高温障害も出始めているので、高温耐性品種も考えなくてはならない」と話しています。
「『コシヒカリ』など、ブランド力が強いコメは高値で売れるため、国内では多く作られてきたが、猛暑で1等米の割合が減れば、いくら高値でも売り上げに影響は出てしまう」
■コメの民間在庫量 過去17年で最低 生産 増えているのになぜ?
コメの生産量が増えているのに、民間在庫量はこの17年で最低となっています。
3月末のコメの民間在庫量です。
2025年は、179万トンで、前の年と比べてマイナス35万トン。3月としては、2009年以降で最低です。
放出される備蓄米31万トンすべてが民間在庫に反映されても、2024年の水準を下回る数字です。
主食用米の生産量は、2024年産は約679万トンで、前の年と比べて18万トン増えています。
生産量は18万トン増えたのに、民間在庫量は35万トン減っています。
「農水省は、人手不足などでサンプル数を減らして調査しているため、国の推計生産量と現場農家の『全国どこでもそんなにとれていない』という声が乖離している」と指摘しています。
農水省に聞きました。
調査員の数です。
コメだけでなく、農水産物全般の統計調査に係る人の数ですが、
●2010年は、約2400人、
●2020年は、約1260人、
●2022年は、約1040人と、減少しています。
農水省は代わりとして、2015年から、コメの専門調査員を設置しました。
コメの専門調査員は、コメの生産統計の調査に携わっていて、2024年度で約900人です。農水省の統計職員OBや農業共済OBなどが多く、徐々に増やしているということです。
推計生産量のサンプル数です。
●1992年は、約1万2500筆。
●1993年〜1996年は、約1万2000筆。
●1997年〜2023年は、約1万筆。
●2024年は、約8000筆と減少しています。
農水省の担当者です。
「調査に関わる『職員』が減っていることは事実だが、専門調査員が代替しているほか、行政情報を活用したり、様々な技術を活用したりして、効率化も図っており、人員が減ったとしても調査の精度は落ちていない」
「水稲の作付面積が減少していることを踏まえ、それに対応した精度を確保するための必要な見直しを行った結果であり、政策上必要な統計精度を確保した調査設計でやっていて、正確性は確保されている」
と話しています。
(「羽鳥慎一モーニングショー」2025年5月7日放送分より)