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2025年5月20日 20:28

コメ、再び高騰なぜ?卸売業者の1日に密着「7月は厳しくなる」

2025年5月20日 20:28

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 再び上がったコメの価格。備蓄米を放出したのに、なぜ安くならないのか。卸売業者の一日に密着すると、コメ高騰の要因が見えてきました。

■コメ卸売業者の1日に密着

 深夜2時すぎ、辺りが静まり返った東京・渋谷区の一角です。人々が眠っている時間から、明かりが灯る精米店があります。飲食店などにコメを卸している「小池精米店」です。

 時刻は午前2時半、毎日この時間から仕事を始めているという店主・小池理雄代表(53)です。

店主・小池理雄代表(53)
店主・小池理雄代表(53)
「(Q.毎日この時間から?)この時間からやらないと間に合わないので。きょう、どの種類をどれくらい精米すればいいか計画を立てている」
店内の機械で精米
店内の機械で精米

 農家やJAから、玄米の状態で仕入れたコメを店内の機械で精米しています。精米機は1台のみ。従業員が出社する前から精米を始めないと、作業が追い付かないといいます。

 新潟県産「コシヒカリ」や熊本県産「くまさんの輝き」など、全国のブランド米を取り扱っています。

 午前3時、飲食店への配送のスケジュールを確認しながら、新たな仕入れの計画を立てます。ただ、確保できる在庫は日に日に少なくなっていると嘆きます。

確保できる在庫は、日に日に少なくなっているそうだ
確保できる在庫は、日に日に少なくなっているそうだ
「なかなか見通しとしては明るくない。このままいったら7月くらいは厳しくなる」

 午前7時半すぎ、出社した従業員が精米したコメを運び出します。30キロ入りの袋で、一日に合わせて1トンほどを飲食店に配達しています。

一日に合わせて1トンほどを飲食店に配達
一日に合わせて1トンほどを飲食店に配達
従業員
「(Q.1人で何軒回る?)30〜40軒くらい。多い時で40〜50軒」

 都内のすし店や焼き肉店など、およそ200の飲食店にコメを卸しています。

 午前8時すぎ、配達の車が出発します。

30キロの玄米10袋が搬入さる
30キロの玄米10袋が搬入さる

 その3時間後の午前11時、30キロの玄米10袋が搬入されます。

 コメの産地は様々、どこから運ばれてきたのでしょうか?

どこから運ばれてきた?
どこから運ばれてきた?
「精米店が農家から買って店の倉庫に入りきらないので、埼玉の業者に預かってもらっているコメの一部が来た」

 新米の時期に農家と年間契約を結んでいて、保管しきれない玄米は埼玉県の倉庫に置いているといいます。

新米の時期に農家と年間契約
新米の時期に農家と年間契約

 コメは必要な時に卸売業者の「小池精米店」へ運搬され、店で精米した後、飲食店へ届けられる仕組みです。

 その過程で、様々なコストがかかるといいます。

様々な価格が上昇しているので…
様々な価格が上昇しているので…
「配達のコスト、機械を回す電気代もかかる。コメを袋に入れているから、ビニール袋も値上がりしている。人件費も上がっているから。お客さんに『6月からまた値上げします』という手紙を配っている。令和6年産のコメになってから、もう3回目の案内」
コメの価格は再び上昇
コメの価格は再び上昇

 コメの価格は再び上昇しています。最新の調査では、全国のスーパーでのコメの平均価格は5キロあたり税込みで4268円。前週は18週ぶりに値下がりしたものの、54円値上がりして、またもや最高値を更新しました。

街の人の受け止めは?
街の人の受け止めは?
コメ価格 下がらない(60代)
「(Q.コメ価格は?)下がらないんじゃないか。このまま4000円超で、ずっと推移していくのでは。前は2000円台だったのが、今は5000円近い。倍だから、元には戻らないんじゃないか」
コメ高騰で… 2キロずつ購入(50代)
「食べ盛りの子どもがいるので、いろんなスーパーを何軒もはしごして見ているが、全然安くならないので買えない。前はすごくいっぱい大量に買っていたが、2キロずつでしのいでいる」
「(Q.2キロを買う?)5キロ〜のものはすごく高くなってしまうので、短い期間だけしのぐため、少しでも安そうなところを」
コメ価格 現在は妥当 (コメ農家・70代)
「肥料や燃料など全部高くなっているので、妥当な値段といえば妥当な値段。農家にも今コメはない。市場には高くしか出回らない」

■再びコメ高騰の原因は?

 備蓄米の放出が進むなか、再びコメが高騰した原因は?

 農林水産省は20日に、コメの相対取引価格を発表。JAなどの集荷業者と卸売業者の間で契約された4月の価格は、60キロあたり2万7102円です。再び上昇し、最高値を更新しています。

埼玉県のスーパー
埼玉県のスーパー

 埼玉県のスーパーでは20日、茨城県産「コシヒカリ」や「あきたこまち」が5キロで税込み5174円まで値上がりしています。

 特売品として、税込み4526円で売られているのは、国産ブレンド米です。

スーパーマルサン 久喜店 小澤清さん
スーパーマルサン 久喜店 小澤清さん
スーパーマルサン 久喜店
小澤清さん

「これは『ゆめぴりか』『コシヒカリ』『あきたこまち』いろいろなコメを混ぜて入れたのが複数玄米使用。安くなるとしたらブレンド米。多少でも安くなるのではと」

 価格高騰が止まらない要因について、コメの政策に詳しい専門家は…。

価格高騰が止まらない要因
価格高騰が止まらない要因
日本総合研究所 チーフスペシャリスト
三輪泰史氏

「備蓄米の価格そのものが高いので、平均価格を下げる効果が薄い。コメの価格全体が上がっていくところを備蓄米では食い止めることが十分にできなかったことが、今回大幅に50円以上平均価格が上がった理由になる」
  • 人々が眠っている時間から、明かりが灯る精米店
  • 店主・小池理雄代表(53)
  • 店内の機械で精米
  • 確保できる在庫は、日に日に少なくなっているそうだ
  • 一日に合わせて1トンほどを飲食店に配達
  • 30キロの玄米10袋が搬入さる
  • どこから運ばれてきた?
  • 新米の時期に農家と年間契約
  • 様々な価格が上昇しているので…
  • コメの価格は再び上昇
  • 街の人の受け止めは?
  • 埼玉県のスーパー
  • スーパーマルサン 久喜店 小澤清さん
  • 価格高騰が止まらない要因