社会的制裁にもつながる“暴露”の功罪 元暴露系YouTuber「リアルに影響がないよう最大限配慮」「裏で解決していることもたくさんある」
ABEMA TIMES
[2025/06/06 17:17]
「エンターテイナー折原」とSNSで名乗る29歳の男が逮捕された。容疑者はSNSなどで個人・団体などに不利益となる情報や、著名人らのうわさを扱う「暴露系の発信」をしていたが、さらに行ったとされるのが恐喝行為。2024年10月、SNSに会社役員の男性の私的な情報を投稿し、その投稿を削除するのと引き換えに現金300万円を脅し取った疑いがもたれている。警視庁によると、容疑者は投稿の削除を求めてきた男性に対し、「自分の価値を自分で決めてください」「5億くらいにしとこうかな」などと脅していた。
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今回の事件を受け、ネットには「人の弱みや不幸で稼ぐと、最後にはすべてを失う」「暴露されるほうにも、それなりの理由があるのでは?」「暴露するほうは正義だと思っていそう」などの意見も見られる。
『ABEMA Prime』では、かつて暴露系として人気を集め、現在は不倫現場の突撃動画をメインに配信するkimonoちゃんと、“暴露系の発信”について考えた。
■「暴露系にも一定のラインがある」
kimonoちゃんは「僕らでさえ引いている一定のラインを、エンターテイナー折原さんははるかに凌駕していることが耳に入っていたので、自ら絡みにいったりコラボしたりすることはなかった」と説明。暴露系にもあるという“線引き”について、次のように話す。
「証拠があることや刑法に触れることをしている人以外は取り扱わないようにする、という暗黙の了解がある。例えば、証言が曖昧だったりする場合は、双方の了承を得てグループ通話などに出てもらう。また、写真や文章、噂だけだったら、AIなどでフェイクを作れてしまうので取り扱わない。それこそメディアがやっているように証拠や証言を集めて、全ての事柄が揃った時に初めて生放送する。情報はどうしても“先出し”が強いので、なるべくフラットに見ようと思っている」

相談はほとんどが一般の人からだという。ここでパックンは「やっていないことを暴露された時、どう無罪を立証すればいいのか。立証する手続きも、場所も与えられていない。また、『法に触れるような行為を取り上げる』ということだが、決定的な証拠が手に入っているなら裁判でいいのでは?」と指摘する。
kimonoちゃんは「2、3年前は未成年者からの相談が多かった。親には言えず、最後の拠り所として来る人が多い。直近の例だと、未成年で卑猥な行為を受けているが、親に言うのは精神的な負荷がかかると。ほとんどの配信者が『親に言ったほうがいいよ』と言う中で、最後の手段として我々を利用している」と説明。また、「実名は放送しない。未成年者でもそうでなくても、現実世界に影響がないように最大限配慮している。顧問弁護士をつけて、『ここまでは大丈夫か』ときちんと確認してからやるし、不倫などの場合も本人に連絡する。暴露をせずに裏で解決していることもたくさんある」とした。
■SNSでの暴露行為と法的責任、許容される判断とは?
kimonoちゃんは「やった人が悪いから暴露されても仕方ない」という考えがある一方で、「相談してくる被害者側にも何かしら問題がある。突き詰めていく中で、『それはあなたにも原因があるんじゃないか』『恨みを買ってそうなったのではないか』ということも、なるべく聞くようにしている」と話す。

さらにあるのが、「警察などの“正攻法”ではタイムラグがあり、解決に至らない」という点。「弁護士や警察の力を借りていないことはなく、なんならかなり相談している。その上で『こうしたらいい』というアドバイスをしたり、僕も一緒に行ったりすることがある。最終的にはその流れ(司法)にいけるような誘導はしているつもりだ」と主張した。
SNSでの暴露行為と法的責任について、服部啓法律事務所の深澤論史弁護士は「『不利益=直ちに違法・犯罪』ではないが、罪に該当する可能性も」との見方を示す。社会的評価を低下させる事実の公然摘示として「名誉毀損罪」、虚偽情報で業務を妨害する「偽計業務妨害罪」、暴露をちらつかせて脅迫し金品を要求するなど「脅迫罪・恐喝罪」に当たる可能性があるとしている。
また、暴露が許容される判断は、「社会の正当な関心事か」「真実性・相当な根拠があるか」のどちらもが大事だと指摘。著名人でも健康情報や家族の障害などは正当な関心事ではなく、一方で一般人でも重大事件の当事者であれば社会の正当な関心事だと言える場合はあるそうだ。なお、週刊誌報道が適法とされるのは、「著名人のスキャンダルは社会の正当な関心事」「裏取りを行っている」点にあるとしている。
■「正義感はない」「お金のためではない」
目的は“お金儲け”のためなのか。「配信者と言われる人たちはYouTuberとは少し違った考えがあって、数字を集めている人ほどお金に興味がない。コレコレさん本人からも話を聞くが、行動がそう見えたとしても、お金のためということは全くない」。

さらに、“正義感”も「ない」という。「『正義感を持ってやっている』と発信している人はいないと思う。ただ、アンダーグラウンドの世界で、『ここしかない』と相談してきた人の勇気に対して、解決してあげたいという気持ちはある。“正義”というのは主語が大きくて、結局、視聴者は鬱憤を晴らすために見ているだけ。有名人であればより盛り上がるが、“誰かが悪いことをした。それを懲らしめてほしい”という、すごくシンプルな構造だ」と持論を展開した。
とはいえ、取り上げられた人は社会的制裁を受ける可能性がある。ジェンダーをめぐる諸問題が専門の研究者・山内萌氏は、「見ている側は誰でもいい。匿名の“フィクション”として消費されている一方で、そこには事実として告発されている人がいるといういびつな構造がある」と分析する。
歌舞伎町歌舞伎町のゲイバー「CRAZE」店員のカマたくは「そこから派生した部分、特定犯や、正解だと思ったけど違った、という場合が地獄。私はそれが怖いので、名前を伏せた状態のエピソードベースで話をする」と自身に照らし合わせた。
■「“ゴシップを見る人=悪”ではない」「受け手の方々が判断を」
暴露系インフルエンサーの意義について、kimonoちゃんは「“いつも見ている人、親近感がある人にまず相談して、アドバイスが欲しい”というニーズに応えているのが我々だと思っている。僕らも『誹謗中傷は絶対やめてください』など散々言っているが、止められない。ただ、ガーシーさんといった人たちが抑止力になっていたとも感じるし、この数年間で暴露は減ったと思う」との考えを示す。
また、そうしたコンテンツを見ることについて、「ゴシップを見る人が全て悪かというと、そうではないと思う。鬱憤を晴らすために見ている人が多いとは言ったが、正義感や社会的意義を唱えられるから見るという人も多い。だからといって、僕らを完全に支持しなさいっていうわけでもなく、受け手の方々が判断すればいいと思っている」とした。(『ABEMA Prime』より)

